仮説と検証を使いこなせるチームはここが変わる 部下の自主性を引き出す「連携」の取り方とは

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連携をとることの3つ目の目的はこれだ。

目的③ よりよい決断を下す

連携をとることは、よりよい決断を下すうえでも有効だ。決断を下すことで、何を信じるかが決まり、それに伴う行動(赤ワーク)に専念できるようになる。

目的④ 適切な仮説を立てる

次の赤ワークにとりかかる(決まったことを実行に移す)前に仮説を立てる。これこそが、連携をとることの重要な目的だ。青ワーク―赤ワーク―青ワーク(決断―実行―決断)のサイクルは、組織に学習と成長を促す。

下した決断は、「やるべきこと」ととらえるのではなく、「試すべきこと」ととらえるほうがいい。つまり、決断したことは仮説だと認識するのだ。

仮説の検証と仮説の構築の両輪

決断するモードから実行するモードに移ったときには、すべてのプロセスが実験となる。実験は学習と改善を生む。実験とはそもそも、「直感から始まってそれを確かめること」である。この直感が「仮説」だ。

考えて決断する仕事(青ワーク)では、「仮説の構築」がいちばんの目的となり、赤ワークでは、「仮説の検証」がいちばんの目的となる。

ハリケーンの影響で2015年に沈没した貨物船エルファロを例に見てみよう(こちらの記事も参照)。

船内の赤ワークが実験的なアプローチで行われていたら、沈没という結末はどう変わりえただろうか。

もしエルファロが、正しく仮説を立てていたら

ハリケーンが近づく中で出港したエルファロには、大きな選択肢があった。

ハリケーンの直撃を受ける可能性がある直進ルートをとるか、それとも、より安全な迂回路となるオールドバハマルートを選ぶかだ。

通常ならこれは大して考えることではない。直進ルートのほうが距離が短く、早く効率的に進むことができるからだ。検討の余地はない。

だが今回は、直進ルートをハリケーンが脅かしていた。よって、船長は、次のような仮説を構築できたのではないだろうか。

次ページ船長が提示できた仮説の例
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