日本企業が中国で直面する「目詰まり」の正体 その在庫管理は適切ですか

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(写真:VLADJ55 / PIXTA)
日系大手メーカーで務める架空の人物のフィクションのストーリーとともに、中国での再成長基盤の構築を模索する多くの日本企業への実践的な処方箋を提示する本連載。第3話はサプライチェーンの目詰まりについて検証したい。
 第1話はこちら:日本企業は、なぜ中国で「踊り場」にあるのか
 第2話はこちら:日中国で苦戦する日本企業にありがちな過ち

 

沢木たちは旧都・長安の風情の残る西安の街に来ていた。このエリアで最も大きな代理商(卸のこと)に訪問するためである。

午前中、張の案内で、街の中心部に張り巡らされた城壁に上り、そのスケールの大きさに圧倒された。この子細な物事を吹き飛ばすようなスケール感こそが、中国人の大局観や行動原理の源泉ではないかと考えた。

長い階段を下りて地上に舞い戻った沢木は、ふとのどの渇きを覚え、路上の売店で缶ジュースを買って、一口飲んだ。

あの杭州合宿での、経営コンサルタントの久保田の言葉が頭をよぎる。

「……御社の場合は、先ほども課題として報告しましたが、直近で対応すべきテーマが2つあります……“モノの流れの目詰まり”と、“カネの不正流出”です……いくらテレビCMなどで消費者の需要を開拓しても、欠品や過剰在庫など、中間流通に課題があり、市場にモノが出ていかないのでは売り上げにつながりません。」

そう、沢木は“モノの流れの目詰まり”を解消するためにまさにこの場にいる。代理商を訪問し、その実態をつかむのがこの西安出張の目的だ。

もう一口ジュースを飲もうとした瞬間、

「あ、沢木さん、直接、缶に口をつけて飲んではダメです!」

ふいに張が制止をする。

「一緒にストローをもらったでしょう? 中国の流通管理状況は日本とは違います。どんな場所で、どんなふうに缶が保管されているかわかったものじゃあありません。私たち中国人は缶に口をつけて飲むことはしません」

「そ、そうか……忠告ありがとう」

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