あえて電力25%をカット、ピンチをチャンスに転換--ブリヂストン社長・荒川詔四
川上にバリューあり 今や「Jカーブ」
──原材料高にはどう対応しますか。特に天然ゴムは歴史的な高値が続いています。
いちばん頭の痛い問題だ。天然ゴムはファンド、投機筋が入ると恐ろしいほど値が上がる。業界には天然ゴムの需給調整機構の設立を求める声もあるが、産出国側も、買う側も、以前よりプレーヤーが増えた。
産出国にとっては望ましい状況の中で何ができるか。今のところは知恵がない。
タイヤはほかに原油由来の原料が多い。コストダウンはもちろん行うが、製品値上げをお願いしないと立ちゆかないのが実情だ。
すでに海外ではかなりの値上げを行っており、日本でも市販用タイヤについて6月から実施した。日本は値上げが通りにくい市場。うちは海外比率が高いので、その点も恵まれている。
垂直統合の特徴も、より生かしていく。これまでグループ内の天然ゴム農園や原材料工場はコストセンターだったが、今後はプロフィットセンターとして明確に位置づける。
(事業プロセスの川上と川下の収益性が高い)スマイルカーブという言葉があるが、どこにバリューがあるかを考えれば、今や「Jカーブ」になっている。原材料の工場群がJカーブの右側にある。
天然ゴム農園を増やす計画はないが、今後はもっと積極的に活用する。コストは専業メーカーと比べても最強を狙いたい。そうなればグループのコストダウン効果は大きい。