あえて電力25%をカット、ピンチをチャンスに転換--ブリヂストン社長・荒川詔四

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日本はマザー工場 位置づけは変わらない

──震災を受けて、国内工場の空洞化を懸念する声もあります。

当社では世界中の工場の競争力を測る尺度として“SEQCD”を用いている。Safety(安全)、Environment(環境)、Quality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(デリバリー)。かつては日本がすべての分野でトップだったが、近年は新興国が台頭し、デファクトになりつつある。特にC(コスト)は厳しい。

そうしたときに今回の震災が起きたが、非常に短期間で復旧した。これは大きい。もたもたしていたら本当に危なかった。日本のモノ作りは、Cが厳しくても、D(デリバリー)はよいということがあった。スムーズサプライが守られたことは、海外への全面移管を思いとどまらせる一因となっている。

重要なのはやっぱり現場力だ。私は被災した工場の対応は初めから現場に任せると決めていた。震災後は毎朝と午後一番の1日2回、経営会議を行い、現状を把握していたが、実際に現場に行ったのは4月になってから。日本の現場はモラルが高く、一人ひとりに実行する力がある。

日本がマザー工場という位置づけに変わりはない。社内では日本の競争力がなくなったらどうするかをずっと討議している。震災が起きたから、急に日本が大変、ということにはならない。

これは経営の柱として中期計画を置いている点が大きい。中期計画では5年後のあるべき姿を定め、それに沿って最適な施策を立案し実行する。そしてその施策は毎年ローリングする。狙いは変化への対応と経営の継続性を両立すること。中期計画では、事業環境の変化が当然の前提となっている。

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