「大谷翔平」にたとえて日銀の政策変更を説明する 「日銀=大谷翔平の熱狂的ファン」でYCCを解説
YCCの前に、まず短期金利の利上げから。
今回のマイナス金利撤廃によって、「無担保コールレート」と呼ばれる、銀行同士がお金を貸し借りするときの金利が0%から0.1%の間になるように、日銀は市場を誘導することになる。
それに伴って、銀行が日本銀行にお金を預けると0.1%の金利をもらえるようになった。その結果、多くの銀行で預金金利がほんの少し上昇した。
たとえば、三菱UFJ銀行は0.001%から0.02%に預金金利を引き上げた。とはいえ、1億円預金しても、1年間で2万円しかもらえない。利上げをしたといっても、まだ影響は軽微だと言える。
日銀は「大谷翔平選手の熱狂的ファン」のようなもの
では、長期金利はどうだろうか。これまで行っていたYCCというのは、長期金利を低く抑えるために10年ものなどの国債を日銀が購入していた政策だ。
国債と言われても多くの人には馴染みが薄いので、大谷選手を獲得したドジャースの観戦チケットで考えてみようと思う。
ロサンゼルスにあるドジャースタジアムで販売されているチケットには、大きく分けて2種類ある。1試合ごとに売り出される一般的なチケットと、1年分のシートを確保して観戦し続けることができるシーズンチケットだ。
大谷選手の移籍によって、チケットは飛ぶように売れているらしく、今シーズンは、全球団で1番の売り上げを記録しているそうだ。
ドジャースとしては、1年分のシーズンチケットを全席分、すなわち5万シート分売れれば、チケット販売に気を煩わせることがないのだが、そこまではシーズンチケットを売ることができない。また、今日だけ試合を観戦したいと思う人もいるだろうから、1日分のチケットも用意している。
さて、現在、政府は約1000兆円の国債を発行している。先ほどのドジャースの話に当てはめると、1兆円のシートを1000席分、売っているようなものだ。ドジャースのチケットでは、1日券と1年券があったが、国債(短期証券とよばれるものも含める)には、3カ月券や1年券、さらには10年など期間の長いチケットも存在している。
チケットを保有している人には特典がある。ドジャースのチケットでは野球観戦という特典がついているように、国債というチケットを保有していると、利息がもらえる(最後にはもちろん元本が返還される)。
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