老後が不安な人が「モノを捨てるべき」納得の理由 人生に必ずある「捨て期」「捨て活」の勘どころ

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部屋が散らかっていたり、収納家具が多い部屋だと、それにつまずいてケガをすることもある。笑いごとでなく、まだ50代なのに部屋でつまずき、手を付いただけで手首にひびが入ったという声をやたらと聞くようになった。

コロナ禍で外出が減った間、思った以上に脚力や筋力が弱っているのかもしれない。これが60代以降のシニア世代だと、もっと重大なケガにつながりかねない。むろん医療費がかかるし、家事ができずに出前を取ったり家事代行を頼んだりと、余計な出費の原因にもなるだろう。

防災面も考えよう。地震の際にモノが落ちてきてケガをしたり、床じゅうに散らばって避難の妨げになってしまうこともある。なるべく部屋をすっきりさせて、安全かつスムーズに動けるようにしておきたい。

火災につながりかねないものも処分したほうが安心だ。筆者は、火をつけるタイプのアロマキャンドルやお香は廃棄した。それを使ううちに火の始末をうっかり失念し、万が一火元になってしまったら大変だからだ。今はキャンドル風のLEDもあるので、雰囲気だけなら十分楽しめる。

住み替えで住宅コストを縮小

老後はコンパクトな家に住み替えたいと考えている人もいるだろう。同じ地域なら部屋数が少ないほうが家賃も安く、光熱費もかからない。暮らしにかかる固定費を抑えられるのはメリットだ。しかし、持ちモノが多くある程度の広さが必要となると、モノのために余計な家賃を払うことになってしまう。

これ以上モノを増やしたくない人は、モノを捨てると同時に収納していた家具も手放していくといい。収納するスペースがあればあるほど、そこに詰めるモノは増えていくからだ。片付け下手な人は、思い切って収納家具やスキマ家具も捨ててしまおう。

なお、家具は処分するにもお金がかかるもの。ある程度体力があるうちなら、譲り先を探したり、リサイクルショップに持ち込んだりといった作業も苦なくできるが、徐々に体力が落ちてくると億劫になり、専門業者に引き取ってもらうことになる。家具や不用品の処分は、量が多ければ数十万円かかることも。本格的な年金暮らしになってからでは難しいだろう。

ずっと自宅で暮らすつもりだから大丈夫と思っている人でも、やがて介護付き住宅や老人ホームに入ることになるかもしれず、その時はごく限られた品物しか持ち込めない。親が残した実家の片付けに子が苦労する話はいくらでも聞こえてくる。片付かないために、家の処分もなかなか進まないとも。子に負の遺産を残さないためにも、早めの「捨て活」が望ましい。

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