「貸していた高級時計が戻ってこない――」
ロレックスをはじめとする高級ブランド時計を借りたい人、貸したい人をマッチングするシェアリングサービス「トケマッチ」の運営会社・ネオリバースが突然の解散を発表した。これにより同社に貸し出していた時計オーナーに時計が返却されない状況が続いている。
「預託した時計がリサイクルショップなどの店頭に流れているのでは」との情報もあり、時計オーナーは気が気でないだろう。16億円相当が返却されていないとの報道もある。業界団体であるシェアリングエコノミー協会も事態を憂慮し、情報収集に努めているという。
「シェアリングエコノミー」とは、各人が持つ空間・モノ・スキル等を貸し借りしたり、売買することで生まれる経済活動のこと。レンタルにも似ているが、シェアサービス業者はあくまでプラットフォーム、仲介者の立場であるケースが多い。貸したい人と借りたい人のマッチングをするのが主な役割だ。個人が使っていないモノや空間を貸し出すことで収益が得られることも後押しし、シェア経済は年々拡大、政府も後押ししてきた。
ただし、「トケマッチ」のケースは、少し事情が違ったようだ。通常のシェアサービスでは、貸し出した品や場所に借り手がついたときに、それに応じた料金が発生するのが通例だ。しかし今回は、借り手のありなしにかかわらず時計を貸与した時点でレンタル料(預託料)が毎月支払われていたという。そのため、わざわざローンを組んで高級ブランド時計を購入し、貸し出していたケースもあるようだ。人によっては月に100万円近い預託料を受け取っていた人もいたという。
毎月レンタル料は入るし、時計はいずれ手元に戻ってくる。高級時計には資産価値があるので、損することはない。そう考えたオーナーが少なからずいただろうことは理解できる。
一時は貸し出しをしてみようか考えたが…
実は、筆者もかつて同じことをやりかけた。「トケマッチ」ではない別サービスだが、高額品のシェアサービスで元が取れるものかどうか、実地で体験してみようと考えたのだ。そのため、中古の時計を買おうとまでしたのだが、結局見送った。リスクが大きすぎると判断したからだ。今回のようなサービス会社解散までを想定したわけではない。それ以前に、防ぎきれない問題点があると感じたからだ。
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