しかし、リーダーや上司がチームと協力して何かを決めようとすると、選択肢を広げる部分を飛ばして、意見の収束を急ごうとする。「みんなはどう思う?」ではなく、「私の意見はこうだ。みんなそれでいいか?」といきなり尋ねがちなのだ。
他者の意見に関心を示そうとしない上司
会議でよく使われている言葉を見れば明らかだろう。
そういう場ではたいてい、上司が意見を提示して、周囲はその意見に同調する。上司は周囲に同意を強要するばかりで、他者の意見に関心を示そうとしない。
「仕事をやり遂げる」ことばかり考えているリーダーがひどく消耗するのはそのためだ。その人はほとんどの時間を、人に何かを強要することに費やしているのだから。
私がここで用いる「強要」という言葉は、影響力や権力や肩書きを使う、最初に口火を切る、ほかの人より多く話す、ほかの人より大きな声で話すなどして、自分の考えに周囲を同調させることを意味する。
私たちはこのような古いやり方をやめ、周囲の意見に耳を傾け、「連携をとる」べきだ。
「連携をとる」ことの目的は、視野を広げ、バリエーションを歓迎し、グループ内に存在するさまざまな知識、思い、アイデアを可視化することにある。
それらを可視化する際に、会議の場で注目すべきは、極端な意見を持つ「異端児」だ。誰よりも肯定的、または否定的な感情を持つメンバーに焦点をあててほしい。
例をあげよう。
あなたはいま、ソフトウェア製品を発表するか、さらなるテストのために発表を遅らせるかを決める会議に出席しているとしよう。
開発プロジェクトで、自分が担当する部分についてはよくわかっているが、プロジェクト全体がどうなっているか、またこのプロジェクトが会社の戦略のなかでどういう位置づけなのかは、よくわかっていない。
会議にはあなたのほかに12人が出席している。
「スケジュールどおりに発表すべきだと思う気持ちは何パーセントか?」という質問に対し、各自がパーセントカードで投票することになった。
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