東証・大証統合の前途多難《下》--取引所世界再編の猛威と国内統合の意義
米国最大のデリバティブ取引所であるシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループが、シカゴ商品取引所(CBOT)やニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)を買収したのはデリバティブ強化の動き。また、NYSEユーロネクストとドイツ取引所の統合は、現物とデリバティブを一体的に強化することで、機能を補完し合い、経営安定化につなげようとする動きといえる。
そしてAは、アジアを含めた新興国市場。昨年秋にシンガポール取引所によるオーストラリア取引所の買収計画(その後、破談)が持ち上がるなど、再編の波はいよいよアジアへも波及。ブラジルではサンパウロ証券取引所とブラジル商品先物取引所が統合して、BM&F Bovespaという新興国最大級の取引所グループが発足した。今後は、欧米の主要取引所が新興国市場へどう関与してくるかが焦点。また、上場取引所として目下、時価総額で世界最大級(約1.7兆円)の香港取引所の出方も注目されるところだ(NYSEユーロネクスト<約0.72兆円>とドイツ取引所<約1.12兆円>が統合すれば、時価総額で逆転の公算)。
将来は3~5の取引所グループへ集約、アジア勢は再編の核になりうるか?
専門家の間では、将来的に世界の取引所は3~5大グループに集約されると見られている。その有力候補は、(1)NYSEユーロネクスト+ドイツ取引所グループ、(2)ナスダックOMXグループ、(3)CMEグループ。あとは、今年6月末に加TMXグループ(トロント証券取引所を運営)の買収を断念したロンドン証券取引所(LSE)の出方が注目点。一部では、ナスダックOMXグループによるLSE買収観測もある。