東証・大証統合の前途多難《下》--取引所世界再編の猛威と国内統合の意義

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 両取引所は統合の意義について、以下の点を挙げている。
 
 大西洋をまたぐ市場インフラとなり、汎欧州の単一通貨建て資本市場として最も流動性の高い市場が形成される。また、効率性向上、コスト削減の効果により投資家や発行体への恩恵も大きいとする。
 
 統合のシナジーについては、統合後3年目に4億ユーロのコスト削減効果と1.5億ユーロの増収効果を合わせ、計5.5億ユーロを見込む。コスト削減効果は主に情報技術や決済業務、市場運営、本社管理部門で実現されるとし、増収効果についてはクロス営業や流動性一体化、新商品投入、市場情報サービス拡大などを通じて達成されるという。

国際的大再編の背景に市場間競争の激化とデリバティブ強化の流れ

こうした国際的な取引所再編が活発化している背景について大証の米田道生社長は、「A、B、C、D」という4つのアルファベットを使って説明している。

まずBはボーダーレス。企業や投資家がよりよい条件での資金調達や運用をグローバルに追い求めるようになっており、取引所間の国境を越えた競争が高まっていることがある。24時間取引の中で、欧州のように同じ取引時間帯の国々の取引所が統合されていくとともに、異なる時間帯の取引所同士がグループ化する陣取り合戦が熾烈化した。

Cはコンピュータ。今や取引所はコンピュータ装置産業化しており、ミリセカンド(1000分の1秒)単位で売買の高速化を競っている。コンピュータさえあれば、土地に縛られずに取引できるため、米BATSやチャイエックスなど新興の電子取引所や私設取引システム(PTS)も台頭。旧来型取引所は、経営統合によって規模の利益を追求するとともに、売買システムの開発・更新を共同化することで、コスト競争力の向上を図っている。米ナスダックがシステムに強い北欧のOMXと統合したのも、同様の流れだ。

Dはデリバティブ。「生身の企業」を扱う現物市場に比べ、「人工の指数」などを取引対象とするデリバティブ市場は上場管理コスト等が軽く、収益性が高い。また、現物市場には企業のファイナンスニーズに応え、産業資本を提供する役割がある一方、デリバティブには現物市場のリスクヘッジ機能に加え、投機マネーも含めて市場の流動性を高める働きがある。

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