東証・大証統合の前途多難《下》--取引所世界再編の猛威と国内統合の意義

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 とりわけ「スーパーメガトン級」と言えるのが、今年2月に合意されたNYSEユーロネクストとドイツ取引所の経営統合だ(12年1月に発足予定)。
 
 NYSEユーロネクストは、世界最大の株式市場であるニューヨーク証券取引所などを運営するNYSEが、欧州のユーロネクスト(00年にパリ、アムステルダム、ブリュッセルの取引所が統合、02年にはロンドン国際金融先物オプション取引所<LIFFE>を買収)と07年に統合して誕生した。

一方のドイツ取引所は、フランクフルト証券取引所を運営するとともに、欧州のデリバティブ取引所で最大級のユーレックスを傘下に持っており、07年には個別株オプションで世界屈指の米インターナショナル証券取引所を買収して北米にも進出している。

両社が統合すれば、上場する企業の時価総額の合計は東証の5倍強に当たる約18.7兆ドル(約1490兆円、世界シェア約33%)で世界断トツとなり、欧州におけるデリバティブ取引でも圧倒的な地位を占めることになる。

統合後の新会社(オランダに持ち株会社設立)の所有比率は、ドイツ取引所株主が60%、NYSEユーロネクスト株主が40%で、ドイツ取引所側が過半数を握る。デリバティブに強いドイツ取引所のほうが収益性に富み、取引所自身の時価総額が大きいためだ。

7月15日、ドイツ取引所の株主が80%以上の賛成多数で統合を承認。これで両社の株主の承認が終わり、あとは欧米規制当局による承認(独占禁止法上の審査)を待つのみとなった。「今日は歴史的な日。世界第1位の取引所運営者になるための重要な一歩だ」と、ドイツ取引所のレト・フランシオーニCEOは述べている。

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