高速道路マニアが行く豪州「レンタカーの旅」 メルボルン西郊「高速の乗り方」から観光まで

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帰路は、往路とは別の「ハミルトンハイウェイ」と名付けられた道路を走り、最後はM1に合流して、4時間ほどでメルボルン国際空港に戻った。

途中、何カ所かのサービスエリアに立ち寄った。名称はサービスエリアではなく、「SERVICE CENTRE」という看板が出ていたが、日本と同様に20~30kmごとに設置されているようだ。

M1のサービスエリアへの入口。「SERVICE CENTRE」を書かれている(筆者撮影)
M1のサービスエリアへの入り口。「SERVICE CENTRE」を書かれている(筆者撮影)

日本と違うのは、サービスエリアで一番目立つのがガソリンスタンドであることだ。敷地内の非常に広いスペースを占めている。そして、その奥にトイレとコンビニ、ファストフードの店が入っているパターンが多い。

ファストフードは、マクドナルド、サブウェイ、ハングリージャックス(オーストラリアにおけるバーガーキングの名称)などの大手チェーン店ばかりだ。

サービスエリア内にあったマクドナルドの店舗(筆者撮影)
サービスエリア内にあったマクドナルドの店舗(筆者撮影)

商品を売る店舗もあるが、売っているのはお菓子や飲料など簡単な食料品と雑貨がほとんどで、日本のようにご当地のお菓子や食べ物は見られない。きわめて実利的で、本来のサービスエリアの役割そのものをシンプルに守っているという感じがする。

リスクも低く、快適なレンタカー旅

気になるのはガソリンの価格であるが、これも州ごとに税金の額が異なるため、かなりの差がある。ビクトリア州では、ほとんどが1リットル当たり1.9豪ドル(190円程度)だが、ニューサウスウェールズ州では、2.2豪ドル(220円程度)と30円あまりも差があった。

オーストラリアは近年、物価の上昇が著しく、それにともなって賃金も上がっているため、経済力や成長力という点では、すでに大きく日本を引き離している。

メルボルン近郊のガソリンスタンドの価格表示。一番上がレギュラーで、単位はセント(筆者撮影)
メルボルン近郊のガソリンスタンドの価格表示。一番上がレギュラーで、単位はセント(筆者撮影)

国民1人当たりのGDPも日本の2倍程度となっているし、よく購買力の引き合いに出されるビッグマックの価格(ビッグマック指数)も、メルボルンの繁華街で確認したところ、単品で12.85豪ドル(約1300円)もした。日本のビッグマック単品は現在500円弱なので、2倍以上だ。

もちろん、飲食や観光施設の入場料なども日本と比較して高めなので、気軽に旅行しづらい国になりつつあるが、それでも冒頭に記したように、レンタカーの旅をするにはリスクが少なく、最適な国のひとつであることは間違いない。

今度はパースをはじめ、まだ手つかずの見どころが多い西オーストラリアにも足を延ばしてみたい。そう感じさせるほど快適なレンタカーの旅であった。

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佐滝 剛弘 城西国際大学教授

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さたき よしひろ / Yoshihiro Sataki

1960年愛知県生まれ。東京大学教養学部教養学科(人文地理)卒業。NHK勤務を経て、NPO産業観光学習館専務理事、京都光華女子大学キャリア形成学部教授、リベラルアーツ・ジャーナリスト。『旅する前の「世界遺産」』(文春新書)、『郵便局を訪ねて1万局』(光文社新書)、『日本のシルクロード――富岡製糸場と絹産業遺産群』(中公新書ラクレ)など。2019年7月に『観光公害』(祥伝社新書)を上梓。

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