「打ち合わせに遅刻」あまりに残念な謝罪の一言 相手の立場に立ち、何を求めているかを考える

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問題は、消費期限の切れた鶏肉でチキンナゲットを生産・販売していたことでした。

この会社は当初、問題の鶏肉が日本に出荷された証拠はないと主張し、該当商品購入者への返金を行いませんでした。しかし、問題の工場から仕入れていたことが発覚し、ようやく謝罪会見を行いました。

会見では、原材料の調達先の中国企業が、消費期限切れの鶏肉を取り扱っていたことが問題であったと説明し、社長は「騙されたと感じるし、非常に憤っている」「私たちも被害者だ」と述べました。

不適切な製品管理をしていた同社こそが社会に対する加害者ですが、仕入れ先の中国企業に対する被害者として、怒りを表したのです。

さらに、半年も経たないうちに、今度は同社のナゲットに異物混入が見つかり、怪我人まで出てしまいました。

そして、印象を決定的に悪くしたのは、「社長は出張中」として、謝罪会見を部下に押しつけたことです。これらの謝罪対応の失敗によって、同社は2年連続で赤字を計上しました。

謝罪が逆効果になる4つの要素

では、この会見の何が問題だったのでしょうか。実は、これらの会見には、謝罪が逆効果となる要素が含まれていたのです。

スタンフォード大学の研究によれば、次の4つの要素のいずれかが含まれていると、謝罪は逆効果になります。

① 正当化
② 逆切れ
③ 弁解
④ 矮小化

こうした観点で見ると、同社の社長が行った対応や会見には、これらの要素のうち3点が含まれています。

たとえば④の矮小化は、問題や状況を小さく見せようとすることですが、最初に「日本に出荷された証拠がない」と、問題を小さくしようとしました。

②の逆切れは、自らは被害者であるとして他者を非難することです。会見で「私たちは被害者だ」と述べています。

①の正当化は、「わざとではない」「知らなかった」などのように自身の行動や発言には、そうするだけの理由があったとすることです。この会見では、社長が会見しないことを「出張中のため」と正当化しようとしました。

他にも多くの「失敗した謝罪会見」がありますが、それらには、この4つの要素のいずれかが含まれています。逆にいえば、これらの要素を含まないように配慮して謝れば、謝罪が逆効果になることはありません。

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