視力や認知機能低下より怖い交通事故になる要因 交通事故率を下げる簡単トレーニングを紹介

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一般に言う視野は、「両目を開けてどのぐらい見えているのか?」を指します。「あの人は視野が広い」というのは両目を開けて普通に生活をしているときにどの範囲まで見えて判断できているのか?ということです。そのため目を動かすということも許容している状態です。

有効視野というのはこの間のようなものです。目の機能を測るための厳しい指標というわけでもなく、実践的ゆえにあいまいなものでもないものです。具体的には両目を開けてまっすぐ見る。そして真ん中をちゃんと見た状態でそのまま周りがどのぐらい認識できるか?ということです。

「見えるか?」ではなくて「認識できるか?」です。検査であれば周辺にあるものが何かわからなくても「何かある」とわかるだけでよいです。でも現実世界では運転をしているときに周辺から何かが来た。それがビニール袋なら回避行動をしてハンドルを切るほうがむしろ危険です。

一方で周辺から来たものが人間ならば必ず回避行動をしてハンドルを切らなければいけません。なので「何となく見える」ではなくて「認識できる」範囲、つまり有効に使えている範囲を有効視野と言います。

有効視野は視力や認知機能検査のMMSEという有名な検査と比較しても事故の可能性を言い当てます(※1)。まっすぐ見ながら周辺から何か出てくるという場面こそが事故で多いからです。有効視野が広ければ事故を避ける行動がとれます。通常の視野と異なり、有効視野は年齢によって狭くなります。だからこそ若い人より高齢者のほうが事故を起こしやすくなるわけです。

ではなぜ高齢者で有効視野が狭くなってしまうのか? それは加齢以外での有効視野が狭くなる場面を見れば理由がわかります。

緊張すると視野が狭くなる

有効視野は緊張するような場面、はたまた込み入った状況で狭くなります。例えば、初めて運転する道路や標識がわかりにくい道だと緊張してしまい有効視野が狭くなります。どこで曲がればいいのかと探りながら運転しているような状況も有効視野が狭くなるわけです。

さらには交差点で右折をするというような込み入った状況も有効視野を狭くします。信号の移り変わりを見なければいけない。対向車が来ているかを見る。赤信号になったからといって歩行者が必ずいなくなったとは限らずそれを確認して右折をする。

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