投資初心者が知らない「投資と投機」の決定的な差 今から投資しても間に合うのかを考える

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次に紹介する計算は難しく思われるかもしれません。ですから、そういう方法もあるのかという程度で捉えてもらって十分です。

足元の日経平均株価は割高と言える?言えない?

まず、日経平均株価の1株当たりの純資産は2月末の日経平均株価3万9166円÷PBRの1.50倍から求めると2万6110円です。一方、日経平均株価の1株当たりの予想純利益は2365円(日経平均株価3万9166円÷今期予想PERの16.56倍)です。

足元の1株当たりの純資産にこの純利益を足して、今期予想の1株当たり配当額となる677円(日経平均株価3万9166円×今期予想配当利回りの1.73%により算出)を引いた値が今年度末予想の1株当たりの純資産2万7798円です(予想1株当たり純資産=1株当たり純資産+予想1株当たり利益―予想1株当たり配当)。

仮に、来期増益率を8%程度と考えましょう。この場合に、先ほどの日経平均株価の1株当たりの予想純利益が8%増えますから、2554円です(1株当たりの予想純利益は2365円×1.08)。その結果、来期予想ROEは9.2%と計算できます。

ここで「PBR= -2.03 +0.38×ROE」のPB”R”OEモデルを使います。ROEに9.2%を入れると、妥当なPBRは1.466倍となります。さらに、今年度末予想の1株当たりの純資産の2万7798円を乗じれば(1.466倍×2万7798円)、日経平均株価の適正と見られる水準は4万752円と試算されました。

来年度の増益率が8%であれば、日経平均株価の試算値は4万円を超える計算となることがポイントです。PB”R”OEモデルから見ると、足元の日経平均株価は割高とは言えないようです。

吉野 貴晶 ニッセイアセットマネジメント 投資工学開発センター長

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よしの たかあき / Takaaki Yoshino

金融情報誌「日経ヴェリタス」アナリストランキングのクオンツ部門で、記録的となる16年連続で1位を獲得した後、ニッセイアセットマネジメントに入社。大学共同利用機関法人 統計数理研究所のリスク解析戦略研究センターで客員教授を兼任。青山学院大学大学院国際マネジメント研究科(MBAコース)で経営戦略、企業評価とポートフォリオマネジメントの授業の教鞭も取る。代表的な著書に『No.1アナリストがプロに教えている株の講義』(東洋経済新報社、2017年) 。

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