投資初心者が知らない「投資と投機」の決定的な差 今から投資しても間に合うのかを考える

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一方、“ROEが8%を下回るとき”のPB”R”OEモデルはどうなるのでしょうか。ROEに掛け合わされている値は-0.01とほぼゼロです。これは8%を下回るとROEの水準とPBRがほとんど関係していないことを示しています。ROEが8%以上の時と違って、横軸のROEの上昇に連動してPBRが高くならないのです。

投資家や企業に大きな衝撃を与えた報告書

今から10年近く前になりますが、2014年8月に経済産業省から「持続的成長への競争力とインセンティブ」と題する報告書が発表されました。プロジェクトの座長が、現在、一橋大学の名誉教授となっている伊藤邦雄氏だったことから、報告書は通称“伊藤レポート”と呼ばれています。この報告書ですが発表当時、投資家や企業に大きな衝撃を与えました。

企業は“8%を上回るROEを最低ラインとし、より高い水準を目指すべき”と記されていたからです。その理由は、ROEが8%を上回る場合のみに付加価値を創造できるとされたからです。ですから8%を下回るときは価値が創造できないため、ROEが上がると株価も上がるという関係が見られなくなります。1株当たり純資産が株価を支えるためPB”R”OEモデルは横這いとなるのです(図中の黒点線)。

3月11日の日経平均株価は868円安となり3万8820円まで下げました。
日経平均株価がいったん、4万円台に乗せたことで、市場に達成感が広がりましたが、これまでの株高で稼いだ利益を確定するために手仕舞いの売りをする投資家が少なくなかったことが大きな要因です。

株価が下がり始めると相場の先行きに不安を感じる方も少なくないでしょう。

そこでPB”R”OEモデルを使って、日経平均株価の適正と見られる水準を試算してみます。

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