東京証券取引所が2023年、上場企業に対して「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を要請して以降、PBR(株価純資産倍率)改善に向けた動きが活発化している。
株主への還元姿勢を積極化する企業が増え、配当性向を高めて増配することはもちろん、総還元性向やDOE(株主資本配当率)の基準の導入や、減配をしない「累進配当」方針を取り入れる動きも目立つ。
さらに東証は、2024年11月にも「投資家の目線とギャップのあるポイントと事例」を公表。取り組みが遅れている企業に対して、より踏み込んだPBR改善策を求めた。
低PBR上位は自動車関連企業
そこで今回は、12月18日に発売となった『会社四季報』2025年1集 新春号の巻頭特集でも取り上げた低PBRランキングを、条件を一部変更して掲載する。ランキングの対象は、今来期とも純利益が増益予想で、配当利回り1%以上、予想純益が50億円以上といった条件を満たす企業に限定している。いずれもPBR1倍割れで、企業の“解散価値”を下回る企業ばかりだ。
ランキングのトップは、2輪計器の世界首位で、4輪向けにも強みを持つ車載部品メーカーの日本精機。今2025年3月期は赤字の欧州事業が構造改革効果で利益が上向き、通期では営業増益となる計画。配当は前期から5円増配となる50円を予定している。ただ、11月に前期比28%の営業減益となる中間決算を発表したことで株価が下落。PBRは0.3倍を下回り、配当利回りは4%台後半で推移する。
2位は自動車のホイールに強く、電炉事業も併営するトピー工業。こちらも2025年3月期の中間決算が前期比84%減と冴えず、通期計画を下方修正したことで株価が低迷。前期重かった減損などの特損が縮小することなどで最終増益の予想ではあるものの、PBRは0.31倍と低水準となっている。
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