「コーヒーで疲れを誤魔化し続ける人」迎える末路 疲労を忘れるメカニズム「休養学」博士が解説

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ところが痛みや熱と違って、疲労については無視したり軽視したりする人が多いのです。疲労も体からの重大な警告なのに、無理をしてがんばってしまいます。

疲労は病気につながるサインであることを多くの人が見落としているのです。

体のどこかが痛むとき、あるいは明らかに熱があるとき、欠勤することをためらう人はあまりいないでしょう。

朝、会社に連絡して、「頭が痛いので休ませてください」「胃がキリキリするので、今日は休みます」「熱が39度あります」といえば、「ゆっくり休んでね」といってもらえるはずです。あるいは「痛みが治まらないようなら病院に行きなさい」と気づかってくれるかもしれません。

ところが「今日は疲れているので休ませてください」というと、一笑に付されてしまいます。

もし、「疲労感は体の発する危険信号である」ということが常識になれば、「疲れているなら今日は休んでおきなさい」という話になるはずです。

疲労はマスキングできてしまう

私たちが疲労感を無視できるもう1つの要因は、疲労感を一時的に「マスキング」できてしまうことです。

マスキングとは上から覆い隠すことをいいます。使命感や仕事のやりがい、褒賞への期待、あるいは「ここでがんばらなければみんなに迷惑をかけてしまう」という責任感などによって、疲労感を覆い隠すことができるのです。

ものすごく疲れているときでも、「今度の大会で一等賞をとれば、欲しいものを何でもプレゼントするよ」といわれたらどうでしょう。賞品に釣られて疲れを感じないことが実際にあると思います。

疲労感を一時的に忘れることができるのは、脳の発達した人間がもつ、すばらしい能力ではあります。一時的にがんばらなければいけないとき、どうしても責任を果たさなければいけないとき、この能力があることによって私たちは急場をしのぐことができます。

問題は疲労感のマスキングを恒常的に繰り返してしまうことです。

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