「コーヒーで疲れを誤魔化し続ける人」迎える末路 疲労を忘れるメカニズム「休養学」博士が解説

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疲れたときはエナジードリンクを飲むという方もいるかもしれません。エナジードリンクとか栄養ドリンクといわれる飲料は「〇〇〇という成分が△ミリグラムも入っている!」などとうたっていますが、主成分は糖分、そしてカフェインです。ですから、コーヒーと同じしくみで、一時的に疲労を忘れられるのです。

「燃え尽き症候群(バーンアウト)」にご用心

本当に忙しいときは、コーヒーや栄養ドリンクを飲んで乗り切らないといけないときもあるでしょう。しかしそれに頼ってばかりいるのは禁物です。

疲れ方というのは、個人差が非常に大きいものです。どれくらい一時しのぎができるかはその人の年齢や体調にもよります。

「あの人ががんばれるのだから、自分も同じようにがんばれるはず」ということはありません。それにもかかわらず疲労感をマスキングし続けることは、体にとって相当な嫌がらせになります。

人それぞれ、もって生まれた体質は違います。睡眠時間も同じで、3時間でも大丈夫な人と、10時間寝なければダメな人がいます。仮に年齢や性別が同じでも、体質は一人ひとり違うのです。

人間は永遠にがんばり続けることはできません。マスキングが常態化してしまうと、どこかでポキッと折れてしまうでしょう。その先は「燃え尽き症候群(バーンアウト)」と呼ばれる状態になることが知られています。

燃え尽き症候群には12段階があり、最初は自分の存在価値をなんとか証明しようと一生懸命無理をすることから始まります。次に「がんばる」とか「ひきこもる」などの段階を経て、11段階目になると、うつ病になります。最後が燃え尽き症候群です。

こうなると何もできない状態になってしまい、治療に時間を要することになります。

片野 秀樹 博士(医学)、日本リカバリー協会代表理事

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かたの ひでき / Hideki Katano

東海大学大学院医学研究科、東海大学健康科学部研究員、東海大学医学部研究員、日本体育大学体育学部研究員、特定国立研究開発法人理化学研究所客員研究員を経て、現在は一般財団法人博慈会老人病研究所客員研究員、一般社団法人日本未病総合研究所未病公認講師(休養学)も務める。日本リカバリー協会では、休養に関する社会の不理解解消やリテラシー向上を目指して啓発活動に取り組んでいる。編著書に『休養学基礎:疲労を防ぐ!健康指導に活かす』(共編著、メディカ出版)。

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