広告会社が「苦境UUUM」の買収に見いだした価値 親会社フリークアウトとUUUMの両社長に直撃

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――フリークアウトとUUUMによる新たな取り組みとして、「クリエイターファンド」の創設を掲げています。どのようなファンドなのでしょう。

本田 投資先はスタートアップだ。インフルエンサーにスタートアップ投資に興味を持ってもらい、ファンドとして動いてもらう。

クリエイターの強みはインフルエンス力(影響力)だと思う。スタートアップ企業としても、自分たちの商品をクリエイターに理解してもらい、紹介してもらえるという利点がある。

海外では、インフルエンサーが当たり前のようにスタートアップに投資していて、日本は遅れている。これはUUUMが持っているアセットを生かすことができる領域だ。

フリークアウトHDの本田社長とUUUMの梅景社長
インタビューは、東京ミッドタウン内にあるUUUMの本社で行われた(撮影:尾形文繁)

梅景 本田さんと最初にお会いしたとき、クリエイター自身がなぜ投資をやらないのかと疑問に思われていた。(本田さんは)成功確率で言うと、グッズ販売などと同じくらいの確率というか、むしろ投資のほうが安全だよねという考えだった。

――成功確率というのは?

本田 企業と協力して商品・サービスの紹介をするタイアップはクリエイターにとってローリスクだが、クリエイター自身のグッズ販売となると、急にハイリスク・ハイリターンになる。タイアップする代わりに少しエクイティをもらうような、中間の領域が存在しないことが不思議だ。

インフルエンサーに商品を紹介してほしいが、まだタイアップできるような金額がないスタートアップからすれば、そういうファンドが存在すること自体に大きな意味がある。

資金に余裕があるインフルエンサーであれば、今すぐタイアップでお金をもらわなくてもいいならば、投資がよい選択肢になる。あとはわれわれがよい相手を紹介できるか。

創業者なき会社で取り組むべきこと

――UUUM創業者である鎌田和樹氏は2023年9月に取締役会長を退任後、同年12月には名誉顧問も退任しました。創業者が完全に手を引いた今、どのように経営を引き継ぎますか。

梅景 鎌田さんはインフルエンサーマーケティング市場をゼロから作ったと言っても過言ではない。「ユーチューバー」という言葉がこれだけ知られているのも、鎌田さんやUUUMによる成果だ。

ユーチューバー業界には誹謗中傷に対する法整備など、やらなければいけないことがまだある。業界のリーディングカンパニーを引き継いだ人間として、そうした問題にも取り組んでいきたい。

髙岡 健太 東洋経済 記者

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たかおか けんた / Kenta Takaoka

宮崎県出身。九州大学経済学部卒。在学中にドイツ・ホーエンハイム大学に留学。エンタメ業界担当を経て、現在はM&Aや金融業界担当。MMTなどマクロ経済に関心。

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森田 宗一郎 東洋経済 記者

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もりた そういちろう / Soichiro Morita

2018年4月、東洋経済新報社入社。ITや広告・マーケティング、アニメ・出版業界を担当。過去の担当特集は「サイバーエージェント ポスト藤田時代の茨道」「マイクロソフト AI革命の深層」「CCC 平成のエンタメ王が陥った窮地」「アニメ 熱狂のカラクリ」「氾濫するPR」など。

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