中国の不動産市場は、低迷脱出の糸口がいまだ見えない。不動産調査会社の中指研究院のデータによれば、業界上位100社による2024年1月から2月までの住宅販売額は4762億4000万元(約9兆9645億円)と、前年同期比51.6%の落ち込みを記録した。
「不動産会社は春節(中国の旧正月)の商戦を盛り上げようと、あの手この手の販促活動を展開した。その結果、一部の都市ではショールームの来店客数がいくぶん増えたが、顧客側は様子見の雰囲気が濃厚で、成約増にはつながらなかった」。中指研究院のチーフアナリストを務める劉水氏はそう話す。
消費者の先行き不安が重石に
春節の大型連休期間中には、中国各地の地方政府が(大都市からの)帰省者に故郷での住宅購入を奨励する優遇政策を打ち出した。それに加えて、不動産会社も春節限定の割引キャンペーンなどを実施したが、成果は微々たるものだった。
劉氏の分析によれば、不動産会社の(値引きや特典などの)販促活動が期待外れに終わった主因は、消費者が自分の収入や中国経済の先行きに不安を抱き、それが住宅需要の縮小を招いていることだ。
ただし、1~2月の住宅販売額の落ち込み幅が大きかった裏には、比較対象である2023年1~2月の住宅販売が好調だった反動もある。中国では2022年12月に「ゼロコロナ政策」が事実上解除され、それまで抑制されていた需要が一気に噴出。不動産市況が2023年1月から3月にかけて一時的に回復したからだ。
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