車名にあるLeanには、車体を傾けて旋回するモビリティのメーカーであるとともに、都市の移動形態に沿った「無駄のないスリムなモビリティを提供する」という意味を込めているという。
同社で注目したいのは、ビジネスをしっかり見据えた組織づくりをしていることだ。
エンジニアリングだけでなく、マーケティングやセールスに精通したメンバーが集結し、量産に向けた台湾のサプライヤー候補も決定済み。台湾の自動車関連企業連合から28億円もの出資も受けている。
そんなLean Mobilityが第1号車として開発したのがLean3で、量産開発の最終段階に入っている。車名の末尾にある3は、3輪であることを示したものだ。
市場投入は2025年を予定しており、まず台湾、続いて日本やヨーロッパに展開し、5年目までに5万台以上の生産を見込んでいるという。
写真を見て、かつて谷中氏がトヨタで開発に携わったi-ROADに似ていると思った人もいるだろう。そのとおり、同氏はi-ROADについての権利関係をトヨタから引き継いで、会社を立ち上げたのである。
このエピソードを当人から聞いて、筆者は迷うことなく取材を申し込んだ。
トヨタがi-ROADの市場化を見据えて、東京都内在住者に1カ月間使ってもらうという「オープンロードプロジェクト」に混ぜてもらい、この個性的な超小型モビリティと過ごした経験を持っているからだ。
当日は、コンセプトカーの開発などで有名なフィアロコーポレーションの東海クリエイティブセンター内にある同社の国内拠点で、量産開発の実車に触れる機会に恵まれた。
ボディサイズは乗用車の1/3
Lean3は、2輪車の機動性や官能性と、4輪車の快適性や安心感を両立することを目標としており、乗用車の1/3のボディサイズで2人乗りを目指して作られている。
ボディサイズは全長2470mm×全幅970mm×全高1570mmで、ホイールベースは1800mm。全長×全幅で求められる路上占有面積は約2.4m2で、たしかにトヨタで言えば「ヤリスクロス」の1/3以下になる。
ちなみにこのサイズは、ヨーロッパや台湾のL5というカテゴリーに適合するものだ。日本には、残念ながら同様のカテゴリーがないので、ミニカー(原付3輪)登録になる。よって、乗車定員は海外では2名だが日本では1名になる。
i-ROADのボディサイズと比較すると、125mm長く、100mm幅広く、115mm背が高い。
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