敷地内で試乗もできた。ドライビングポジションはi-ROADよりも立ち気味で、スクーターに近い。おかげで、後席にも身長170cmの筆者が楽に乗れ、ISO規格に準拠したチャイルドシートも設置できる。
ドアを左側のみとしたことは、右側にメーターやエアコンルーバー、ドライブセレクターのボタンなどが並んでいるのを見て、理解できた。ステアリングの奥には、スマートフォンを固定できるようになっている。
走り始めて最初に感じたのは、加減速や操舵など、あらゆる動きに唐突感がなくスムーズであることだ。加えて、前輪操舵になったことで、旋回感がi-ROADより格段に親しみやすくなった。
ステアリングのロックtoロックは3回転から1回転、つまり左右半回転ずつになったが、ステアバイワイヤとは思えないほど滑らかで自然だ。操舵輪の違いはあれど、車体をリーンさせながらコーナーをこなしていく爽快感は、i-ROADに限りなく近い。
不整路ではジャイロセンサーのおかげで、左右の前輪が独立してストロークして垂直を保ってくれることも確認できた。自動車の走行技術とロボティクスの姿勢制御を高度に融合させた、「RideRoid」というフレーズに納得した。
ベンチャーらしからぬ信頼感・安心感に期待
最初に販売を予定する台湾での価格は、バッテリーを含まないで20万台湾元(現在のレートで約95万円)からを考えているとのこと。現地で販売されている電動スクーターの約2倍のレベルになるという。
個性的なデザインと独創的な走りの世界、乗用車に近い快適性と2輪車に匹敵する機動性を両立していることを考えれば、日本はともかく、台湾やヨーロッパでは一定の需要が見込めるのではないか。
これまで書いてきたとおり、Lean Mobilityは会社としての体制も、クルマづくりのレベルも、良い意味でスタートアップらしからぬ信頼感や安心感を抱けるものだ。それでいてデザインやエンジニアリングは、日本発とは思えない大胆さがある。
i-ROADの快感を残しつつ完成度を引き上げた走りだけでなく、モノづくりやビジネスを含めて、絶妙なバランス感覚を備えていると思った。
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