群馬県「移住希望9位→2位」に大躍進の納得の理由 「オール群馬」の取り組みが奏功、トップを目指す

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今回の調査結果とは別に、人口、移住者の実態はどうなっているのだろうか。県が公表しているデータによると、総人口は昨年12月1日時点で、1984年以来39年4カ月ぶりに190万人を割ってしまった。

最新の2月1日時点では189万6175人。1月中の自然動態は2035人のマイナス。社会動態は転入5372人、転出5132人で240人の転入超過となっている。

2023年の人口移動報告で詳しく見ると、日本人に限ると年間で2214人の転出超過。20-24歳の転出超過3316人が最大で、若者の県外流出が大きな課題だ。一方、子どもとその親の世代を見ると、0-14歳は234人の転入超過、30-44歳は375人の転入超過。子育て世代の支持を集めていることは間違いなさそうだ。

では、実際の移住者はどれだけいるのだろうか。29日の会見で県の地域創生部長が2022年度に市町村で確認できた移住者数として1324人という数字を公表していた。実際にはもっと多いと見ているとのことだが、人口減を食い止める規模にまでは達していないのが実態だ。

群馬県内で移住者数が多いのはどんな地域なのか。まずは2023年の転入超過数(日本人)で見てみよう。①高崎市299人、②吉岡町227人、③伊勢崎市105人、④甘楽町64人、⑤榛東村58人、⑥安中市49人などとなっている。上越・北陸新幹線の駅がある高崎市はわかるが、2位の吉岡町はいったいどんな自治体なのか。

群馬県内で唯一人口の増加が予想される自治体

県のほぼ中央に位置し、前橋市に隣接する吉岡町は人口2万2589人(2月1日時点)、面積は20.46平方キロメートルで県内で3番目に小さい。赤城・榛名の美しい山並みを望む田園光景が広がる一方、前橋市のベッドタウンとして知られ、人口増加率0.96%(2023年)は県内トップだ。

子育て支援には力を入れている。子供の医療費無料化(18歳の年度末まで)、幼児教育・保育施設の保育料無料化、学校給食補助(小中学校の生徒1人当たり年間1万0450円)、産前・産後サポート事業(産後1年までの妊産婦への家事、育児援助)、出産応援ギフト(5万円)、子育て応援ギフト(5万円、双子の場合10万円)、そしておむつ替えや授乳ができる店舗や事業所などが「赤ちゃんの駅」として10カ所以上登録されている。

その結果、2023年1年間の転入超過数227人のうち、0-14歳の子ども世代が48人、30-44歳の両親世代が79人となっている。子育てファミリーの流入が増えていることがわかる。国立社会保障・人口問題研究所が発表した2050年までの将来推計人口で、群馬県内で唯一人口が増加する自治体とされている。

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