名門男子校生が「お金を稼げる仕事」を目指すワナ もっと「就職だけではない」ことを知ってほしい
凹沢:難しいですね……(笑)。個人的には、3番かなと思いました。
田内:実は1番が間違いなんです(笑)。ただ、この問題はみんな3番を選ぶんですよ。
みんなが「え、俺間違ってしまったの?」と面食らっているところに「1番は『あなた』だけならそれでいいんだけど、主語が『みんな』だよね。働く人がいないから、平日にお金を貯めても、日曜日にお金を使うことはできません」と解説します。
そして、「実はこれは今の年金問題も一緒で……」という感じで本題に入ると、話を聞いてくれるようになるんです。
凹沢:なるほど……斜に構えている傾向のある男子校の生徒だと、最初にすごい人だと思ってもらう必要があるので、とても効果的ですね。
「投資される側」である漫画家の役割
凹沢:私自身、名門校の取材をしていると、多くの人は将来、大企業や政府の要職といった、お金を稼げるような仕事に就きたいと思っているのを感じます。
田内:悪くいうと、大きな組織に所属して、安泰なイスに座りたいというか。これは、僕自身の反省でもありますね。アメリカとはそこが大きく違う点ですよね。
スタンフォード大学とかだと優秀な学生は大企業に入って与えられた仕事をするのではなくて、起業することを考えるようです。「現状の検索エンジンでは不便だから自分たちで作ろう、でも自分たちだけだとお金が足りないから投資してもらおう」という発想なんです。
日本では投資してお金を増やそうとする人は多いですが、「投資する側」だけでなく、「投資される側」の人たちが現れないと、新たなものは生み出されないんですよね。
凹沢:すごいですね。本当に人のためになることを考えていないと、その考え方はなかなか出てこないと思います。私も最近、積み立てNISAについて勉強しようとしていましたが、自分が投資される側の人間になるとは考えたことがなかったです。