名門男子校生が「お金を稼げる仕事」を目指すワナ もっと「就職だけではない」ことを知ってほしい

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田内:ただ、女性との接し方というのは小学生並みの偏差値になってしまう可能性があるので、男子校を検討するならそちらも考慮したほうがいいかもしれません(笑)。

中学受験が人生でいちばんの成功体験になっている主人公。男子校という環境も相まって、恋愛観がこじれにこじれている(漫画:『かしこい男は恋しかしない』より)

凹沢:社会に出たら女性と関わらないといけませんからね。その点では、この漫画が唯一リアルじゃないと言われるのは、女性との接点の多さなんです。なかなか、普通の男子校生は主人公の正直みたいに、アグレッシブに話しかけには行けないですよね……(笑)。

新しい視点に気づく作品を作っていく

田内:はい、僕にはできませんでした(笑)。

真面目な話に戻すと、マンガでもなんでも僕が好きなのは、新たな知識だけではなく、新たな視点に気づかせてくれる作品です。『かし恋』を読むと、今の子たちが、世の中をどのように感じているか、どんなときに幸せを感じているかがリアルに伝わってきます。

親になると、自分が学生だったときのことを忘れて、進学実績だけ気にして学校を選んじゃうんですよね。それだけで選んじゃいけないと教えてくれる感じがするんです。そういう意味で、親が読んだほうがいいと思うんですよ。

凹沢:まさに、この作品は中学受験の親世代に読んでもらいたいという思いがあります。

田内さんが視点を大事にされているという話を聞いて、腑に落ちました。「トンカツ屋」という個人事業主の佐久間家の子ども、銀行で働く七海、そして投資家のボス。たしかに、いろんな視点で描いているから、金融や経済の知識がない私でも読めちゃうんですね。

3人全員ちがう立場から書いていて、それでいてどの視点からもわかりやすく学べるのはすごいです。

田内:ありがとうございます。今回の小説の場合は、3人それぞれが自分の経験にもとづいているので、凹沢さんのように新たな視点を取材から見つけられるようになりたいです。いつか、取材のしかたを教えてください。今日はありがとうございました。

凹沢:こちらこそ、ありがとうございました。

(構成:濱井正吾)

編集部より:対談後、凹沢さんが『きみのお金は誰のため』の感想漫画を書いてくださいましたので、ご紹介いたします。
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