「卒倒しそうになった」高校で学ぶ金融教育の実態 「アメリカへの投資」が日本を豊かにしないワケ

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進学校 教育
ある超進学校での「金融教育」を伝える新聞記事ーーその中身には大きな問題が隠れていたといいます(画像:Peak River/PIXTA)
経済の教養が学べる小説きみのお金は誰のため──ボスが教えてくれた「お金の謎」と「社会のしくみ」著者である田内学氏は元ゴールドマン・サックスのトレーダー。資本主義の最前線で16年間戦ってきた田内氏はこう語る。
「みんながどんなにがんばっても、全員がお金持ちになることはできません。でも、みんなでがんばれば、全員が幸せになれる社会を作ることはできる。大切なのは、お金を増やすことではなく、そのお金をどこに流してどんな社会を作るかなんです」
今回は、田内氏が「卒倒しそうになった」新聞記事から、日本の金融教育の問題点について解説してもらう。

「ブラックユーモア」としか思えない新聞記事

先日、高校の金融教育についての新聞記事を読んでいて卒倒しそうになった

きみのお金は誰のため: ボスが教えてくれた「お金の謎」と「社会のしくみ」【読者が選ぶビジネス書グランプリ2024 総合グランプリ「第1位」受賞作】
『きみのお金は誰のため: ボスが教えてくれた「お金の謎」と「社会のしくみ」』(東洋経済新報社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

全国屈指の進学校に証券会社の講師がやってきて、「日本の未来を明るくする方法」として、ドル投資を薦めたという内容だった。

投資による金儲けがけしからんと言いたいわけではない。僕自身も20年近くマネー資本主義のど真ん中で金融取引をしてきた。

むしろ、金融の裏側を知っているからこそ、卒倒しそうになったのだ。

学校でこんな教育をしていたら、日本の未来は明るくなるどころか、真っ暗な海の底へと沈没していく。この新聞記事はたちの悪いブラックユーモアにしか思えなかった。

2年前から高校で始まった金融教育。学校の先生たちが慣れない金融の話をするのは難しく、この記事のように証券会社などの外部講師が出張授業をおこなうケースが多い。

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