「卒倒しそうになった」高校で学ぶ金融教育の実態 「アメリカへの投資」が日本を豊かにしないワケ
しかし、本来の金融教育は投資や資産形成などのお金儲けの話だけではない。金融広報中央委員会ホームページには、以下のように書かれている。
つまり、個人の生活を考えながら、社会のことも考えようねということだ。社会は他人事ではなく、自分の延長にある。社会という船がまるごと沈没してしまえば、自分も溺れてしまう。
「投資でお金が増える」理由を考える
投資によって自分のお金が増えるのは、お金が自己増殖しているからではない。投資を受けた人たちが、新たな技術、商品、サービスを生み出し、将来の消費者の生活が豊かになる。その消費者から支払われたお金の一部が投資をした人へと還元される。
たとえば、アメリカの株価を牽引する会社の1つにGoogleがある。Googleという検索エンジンを開発したのは、ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンの2人だ。開発当時、彼らはまだスタンフォード大学の学生だった。
1990年代にインターネットが普及し始めたころ、インターネット上の検索エンジンの精度は低く、検索ワードと関連の少ないページが検索結果の上位に表示されることが多かった。その不便さを解消しようと彼ら2人が立ち上がった。集まった投資マネーによって多くの人を雇うことができ、Google Mapなどのさまざまな製品を開発することに成功した。
彼らのように、社会に存在する不便さや問題などの解決に取り組もうとする人がいるから、社会は暮らしやすくなっていく。その対価として消費者が支払うお金がGoogleに流れ、配当や株価の上昇を通じて投資家はお金を増やすことができる。
Googleの創設者たちは、事業を始めるときや拡大するときにお金が必要だったが、そのお金をバイトで稼いだり、株式投資をがんばって増やしたわけではない。投資してもらう側になったのだ。
会社を始めたい、お店を開きたい、アイディアを商品化したい。自分のやりたいことが社会の役に立つことであれば、投資や融資、クラウドファンディングなどの金融システムによって、お金を融通してもらえる。つまり、金融システムを利用することで、やりたいことの選択肢を増やせる。
ところが、現在の金融教育は主に投資教育に偏っていて、やりたいことを叶えるために「投資をがんばって賢くお金を増やしましょう」という話ばかりが聞こえてくる。
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