認知症女性「謎の行動」繰り返す涙ぐましい"真意" 帰宅願望や夜間徘徊を生む「過去の呪縛」とは?

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おばあちゃんは家に帰りたいのに道がわからなかったのか、まいごのように歩いていただけでした。

そんな中でもぼくが介添え役のように付き従っていたので、それなりに心強かったのかもしれません。少しずつ、ぼくが傍にいることに安心感を覚えているような表情を見せはじめてくれたのです。

そんな”散歩”を2時間も続けていると、さすがに疲れたようで、座り込んでしまいました。

施設に電話して、車で迎えにきてもらうことにしました。待っているあいだにはお茶を飲んでくれたし、車で帰ることも拒みませんでした。

翌日の夕方もやはり「うちへ帰る」が始まりました。

「では送っていきます」と、前日と同じように二人で施設を出ました。

アテのない散歩のようになったのは同じでしたが、このときは最初から前日ほどギスギスしないで済みました。おばあちゃんが意地を張ろうとしなかったからか、散歩時間も短縮されて、1時間30分で迎えの車を呼べました。

寄り添うことで変化しはじめたおばあちゃんの反応

その翌日も、同じように出かけました。今度は車を呼ぶ必要もなく、二人で歩いて施設に戻りました。所要時間は1時間ちょっとです。

この日は夕食前に帰れたので、「夕食の準備を手伝ってもらえませんか」と尋ねてみました。

おばあちゃんの反応はどうだったかといえば……。

笑顔で「ええよ」と返してくれたのです。

おうちに帰りたい、ということは忘れてしまっているようでした。

4日目も同じように施設を出たものの、このときは最初から、ただの散歩と変わりませんでした。30分ほど歩いたあと、「夕食の準備があるから帰りましょうか?」と聞くと、「そうやな」と即答してくれたのです。

そして5日目には、夕方になっても「うちへ帰る」と言わなくなりました。

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