血糖値高めを放置し「足を切断した」男性の言い訳 糖尿病を甘く見てはいけない、これだけの理由

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喫煙や飲酒習慣を変えることなく過ごしていたところ、50代で脳梗塞を患い、車いす生活に。会社勤めも通勤が難しくなったため、50代半ばで早期退職せざるを得なくなったのです。

脳梗塞は、脳の血管が詰まり脳細胞が死んでしまう病気で、多くの場合、半身まひや嚥下(えんげ)障害、失語などの機能障害が生じます。脳梗塞を含む脳血管疾患は、介護が必要となる状態や寝たきりになる原因の1、2位に挙げられています。

自宅で過ごすようになったAさんは、脳梗塞を患ってもなお「自分は大丈夫だろう」と、それまでの生活習慣を変えることなく過ごしていました。車いす生活で自由に外出できなくなったことで、「お酒とタバコが唯一の楽しみだから、やめたくない」という気持ちも強まったそうです。

家族はそんなAさんを心配しながらも、「本人がそうしたいなら仕方がない」と注意することなく、なかば諦めモードでいたようです。

その結果、Aさんは脳梗塞から5年後には心筋梗塞を患い、8年後には足の組織が壊死し、片足を切断することになります。さらに、失明の恐れもあるということを知り、愕然とします。

足の切断、そして失明の危険性がすぐそこまで迫っている段階に来て、やっと糖尿病がいかに深刻な病気なのかを自覚したのです。

糖尿病を放置しておくと…

糖尿病は放置しておくと、さまざまな合併症を引き起こします。その代表的なものが糖尿病性神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病性腎症で、「3大合併症」と呼ばれています。

糖尿病によって動脈硬化が進行すると、足先の血液循環が悪くなり、足の組織が壊死して、壊疽(組織が腐って死ぬこと)を起こしてしまうことがあります。

通常は、壊死するまでの段階でかなりの痛みを伴うため、早い段階で気づいて治療できることが多いのですが、糖尿病の場合は神経障害が起こっているので痛みを感じにくく、進行するまで気づかないことが少なくありません。

このほかにも神経障害ではさまざまな問題が起こります。

例えば、運動神経が障害されると、足先が垂れて歩きにくくなるなどの症状が表れます。また知覚神経が障害されると、チクチクとした不快な痛みに悩まされたり、逆に痛みや寒冷を感じにくくなり、火傷を起こしても気づかなかったりします。

こうした本人が気づかない小さな傷や火傷をきっかけに、壊疽が始まる例もめずらしくありません。

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