「発酵」に対して世界で巨額マネーが動き出す理由 ビッグビジネスになりつつある発酵の分野

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微生物の力を利用するメリットはいくつかあります。まず、生物の増殖の早さを活かして、人間が工場でつくるよりも効率よく物質を生産できます。また、もともと自然の中に存在している微生物を利用するため、人工的につくられた薬品を利用するよりも環境への負荷が少なく、人間の手や機械ではつくることができない複雑な物質も、微生物によって生産できます。

これらのメリットをより強化するため、狙った通りの物質を、より効率的に生産できる微生物になるように遺伝子を操作して活用しようと遺伝子工学の技術も使われています。まさに、微生物を「生きる工場」として「求める物質」を生産していく技術です。

これを「精密発酵」と呼ぶのですが、現在バイオテクノロジーの分野のホットトピックとなっています。これらの技術は、人類の食料生産や自然環境の保護という重要な社会課題の解決にも結びつくと期待されており、その社会的な意義は計り知れないほど大きいものです。

微生物を利用した「牛乳」を生産

代表的なものが、アメリカのパーフェクトデイの取り組みです。同社は、微生物を利用して「牛乳」を生産する技術を開発しました。そして生産された「牛乳」をもとに、ヨーグルトやアイスクリームなどの「乳製品」を開発、すでに一般に流通しており、アメリカでは大手スーパーなどで購入することができます。

他の事例としては、イスラエル企業のリミルクも、乳タンパク質の代替となるタンパク質を「精密発酵」で生産する技術を研究し、デンマークに世界最大規模の精密発酵工場の建設を計画しています。

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