「敵に塩」は若者には難しい?"伝わらない"日本語 「新聞にもよく使われる」史実・故事由来の表現

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古くから言い伝えられている話が由来となっている日本語も多数あります。

故事由来の言い回し

●「外堀を埋める」……目的達成の邪魔になるものを、適当な口実を設けて取り除くこと。徳川家康が口実を設けて豊臣方の大坂城の外堀を埋めさせて、やがて攻略したことから

●「いざ鎌倉」……これは大ごとだ、大事件が起きた、と身構えること。鎌倉幕府に大事が起きたなら御家人がすぐに駆けつける、という謡曲の一場面から

●「背水の陣」……一歩も退けない状況において、全力を尽くして事にあたること。中国漢の韓信が敵の趙と戦ったとき、退却すれば溺れるしかない川を背にした捨て身の布陣で勝利した故事から。決死の覚悟が兵士たちを奮い立たせた

●「ルビコン(川)をわたる」……ルビコン川はイタリアの川の名前。紀元前49年、ローマのポンペイウスとの戦いを決意したシーザーが、ルビコン川を武装して渡ることは禁じられていたにもかかわらず、この川を渡って進撃した史実から、きわめて重大な決断をするという意。日本の会社経営者が、社員にこの言葉を使って呼び掛けることも

●「さいは投げられた」……ルビコン川を渡る際、シーザーが言ったとされる言葉。「さい」は「サイコロ」。もう投げてしまったのだから、後戻りはできない。考えたり悩んだりは無用――。強い決意で断行あるのみだ、という意味で、日本社会の主に仕事関係でも、しばしば聞かれる

山口 謠司 大東文化大学文学部教授

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やまぐち ようじ / Yoji Yamaguchi

1963年、長崎県佐世保市に生まれる。
大東文化大学文学部中国文学科教授。中国山東大学客員教授。博士(中国学)。大東文化大学文学部卒業後、同大学院、フランス国立高等研究院人文科学研究所大学院に学ぶ。ケンブリッジ大学東洋学部共同研究員などを経て、現職。
著書にはベストセラー『心とカラダを整える おとなのための1分音読』(自由国民社)、『語彙力がないまま社会人になってしまった人へ』(ワニブックス)などがある。

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