EU版iPhoneの「退化」を日本も無視できない理由 DMA対応でアプリストアなど開放、リスクは増大
開発者にとっての自由度の高さとセキュリティの両立は大きなテーマで、iPhone(iOS)の場合、App Storeを組み込んでサードパーティ製アプリを動かせるようになった時点では、小さな“箱庭”でアプリを動かせるだけだった。
スマートフォンは、携帯電話網を使って通信できる多様なセンサーを内蔵するコンピュータだ。その機能を単に開放するだけでは"悪意あるソフトウェア”に新たな自由を提供するだけになってしまうため、用心深く機能の開放を進めてきたのだ。
現在、iPhoneの“箱庭”はより大きく、自由度の高いものになっているが、それはアップルが悪意あるソフトウェアやプライバシー侵害などへの対策を施すとともに、各種機能を開発、搭載してきたからにほかならない。
その結果として今日に至るまで、ウイルス、マルウェアはiPhone上で確認されておらず、ユーザーはアンチウイルスソフトなどをインストールせずに使いこなすことが可能になっている。
新たなiOSで導入する公証制度とは?
iPhoneの悪意あるソフトウェアへの対策は、実はシステム的な側面だけで完結するものではない。安全性を重視したシステム設計としたうえで、App Storeで配布するすべてのアプリを人間が審査している。

しかしApp Store以外のアプリストア(代替アプリストア)のダウンロードが解禁されると、そこでの審査は代替アプリストアの運営者自身が行わねばならない。
詐欺アプリ、海賊版、プライバシー侵害、コンテンツガイドラインなどの審査は、ストアごとに異なるものになるが、当然ながらストア運営者はiOS自体の開発を行なっているわけではない。
そこでアップルはEU版iOS 17.4以降では、「公証制度」を導入する。こればノータライゼーションと呼ばれるプロセスで、アプリの機能や内容についての審査は行わないが、基本的なセキュリティ、プライバシーガイドラインへの準拠を確認し、ウイルス・マルウェアのスキャンを行ったうえで、iOSへのインストールを可能にする“カギ”をアップルが発行する。
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