52万円「Vision Pro」エンタメ目的なら価値あり ハワイで買う日本人続出、使ってみた感想は…

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ファーストインプレッションとしては、3500ドル(約52万円)という高価なVision Proではあるものの、既存のオールイン型XRヘッドセットと比較すると明らかに高い性能だ。100万円を超える100インチテレビを持ち歩ける醍醐味というべきか。リビングに限らず書斎やベランダなど好きな場所で、映画館最前列から最後部座席まで自分好みのスイートスポットで映画やドラマ、アニメを思う存分楽しめる快楽がここにはある。

メガネサイズのARグラスでも、”100インチを持ち歩ける"といったキャッチコピーが使われることが多い。しかしその100インチが置かれた場所は数メートル先の印象。実際に体験すると宣伝文の数字ほど大きく感じることはない。しかしVision Proは現実であってもバーチャルであっても空間内のどこにでも自由な大きさのディスプレーを設置できる。

スピーカーの音質にも驚いた。耳の中に入れるイヤホンや耳を覆うヘッドホンではなく、耳の周りが開放状態にあっても低音から高音まで過不足なく聴こえてくる。音質の傾向はAirPods Proと近く、アップル製品を使い続けている人ならば馴染み深いものだ。

金銭的に余裕がある人が選ぶエンターテインメントデバイスとしては価値がある。では、仕事で使うとしたらどうだろうか。Vision Proは働き方を改善してくれるデバイスとなるだろうか。

Vision Pro
横から見たところ(筆者撮影)

移動が多いホワイトワーカーなら活用できる

大画面を持ち歩けるという資質を持ったVision Proで期待されているのが、モバイルオフィスだ。Vision Proにはもともと航空機内で使えるトラベルモードが備わっており、移動中の狭いスペースでも大画面ないしは複数の画面を表示させることで、オフィスにいるときのような高い生産性を保ちながら業務を推進できる。

しかしこのトラベルモード、現状、タクシーに乗車しているときは使いものにならなかった。電車の中でも使いづらいという話を聞いた。流れ行く車窓を認識させてしまうと、表示したウィンドウやウィジェットの類がすごい勢いで吹っ飛んでいくからだ。自分の周囲に固定しておくには車窓があまり視界に入らない場所で使うしかない。これは自動運転が当たり前となる時代までには修正してほしいと感じるところだ。

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