新日本・棚橋社長が語る「プロレスの未来予想図」 「猪木さんの仕掛けに近いこともやりたい」

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――プロレス界でも一時期、プ女子ブームがあって、女性ファンが増えたことがありました。

新日本もその流れで、女性ファンが多いというイメージから、人気になったことがありました。そう考えても、ビジュアル面の強化とか、カッコいいデザインや着やすいカラーリングのアパレルグッズとか、色々と施策を重ねていって、いつでも新日本にスーパースターが生まれてもいい土壌を作っておきたいですね。第2、第3の棚橋弘至が出てくればこの業界はまだまだ跳ねますよ!

オカダカズチカ選手というスターが退団した新日本プロレス。内藤哲也選手などに続く新たなスターは生まれるか(写真:新日本プロレス公式サイトより)

――矢野経済研究所の『「オタク」市場に関する調査(2020年)』によると、プロレス市場規模は2020年度予測で、130億円とのことです。時期は異なりますが、野球の世界ではNPB(日本プロ野球)の市場規模が約1800億円、MLBは約1兆5000億円(2018年推計)と言われています。このプロレス市場規模の現状についてどのように思われていますか?

もともとプロレスと野球だと競技人口が違いますし、比較するジャンルではないと思います。新日本は「キング・オブ・スポーツ」と謳っていますが、プロレスはスポーツであり、鑑賞芸術。舞台、映画、コンサートといった要素が少しずつ入っているジャンルなんです。だから大会場で見る楽しさもあれば、ライブ感を体感できる小劇場で見る面白さもプロレスにはあるので、その振り幅の広さをこれからも活かしていきたいですね。

――確かにリングが組めればプロレスはどんな会場でも試合ができますし、リングがなくてもプロレスをやってますよね。

他の団体では新幹線や路上でも試合をやってますから。

「今の若い選手を世に出したい」

――現在、新日本関連のテレビ番組といえば、テレビ朝日系の深夜帯に試合中継の『ワールドプロレスリング』、またバラエティー番組として『新日ちゃんぴおん!』の放送があります。地上波テレビとの関係についてはどのようにお考えですか?

今、若い世代はYouTubeやオンデマンドで見るのが当たり前の時代になってますが、地上波テレビという入り口だけはずっと残しておきたいんです。僕は高校まで野球一筋で、受験勉強を頑張っているときにたまたまテレビで見たプロレスが面白くて、そこからプロレスにハマるようになって、生きるのが1000倍楽しくなったという経験があります。

かつて金曜夜8時の『ワールドプロレスリング』を見て、プロレスに熱狂していた日本が確かにありました。またジャンルが盛り上がって力をつけてもう一度、日本がプロレスに熱狂する時代に変えたいです。僕としてはおじいちゃん、おばあちゃんも含めた親子3世代でプロレスが楽しめる時間帯で見れる状況になれば嬉しいですね。

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