新日本プロレスの「闘う広告塔」棚橋新社長の胸中 猪木、坂口、藤波に続く「レスラー兼社長」が語ること

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――周囲の反応はいかがでしたか?

最初に嫁さんに連絡すると、「まあ頑張りなさいよ」と。実家のほうでは、父は「おお、そうか」と喜んでくれて。逆に母は「あんたで大丈夫かね」と思いっきり不安がってました。家族以外には公式にリリースされるまでは守秘義務があったので口外しませんでした。

――SNS上では棚橋社長誕生については結構、歓迎ムードがあるようにも感じます。

ありがたいです。会社内部の仕事については、前社長の大張さんが各部署の独立採算性を尊重したシステムを作ってくれたので、それをしっかり引き継ぎたいです。

――社長就任の記者会見でも語っていたと思いますが、棚橋社長としてやりたいことがあれば改めてお聞かせください。

地方大会をもっと強化したいです。今、幸いにして新日本にはいろんなタイトルがあって、地方都市でのタイトルマッチもたくさん実現しています。新日本でいちばん大きなタイトルはIWGP世界ヘビー級王座ですが、それをメインイベントに据えなくても、お客さんは見に来てくれます。

(チャンピオンを決める)タイトルマッチが組まれると、見に来られたお客さんは嬉しいと思いますし、お得感もあるんじゃないですか。リング上の選手のアピールや自己主張などその場の流れを汲んで、魅力的な対戦カードを提供したいという願いはあります。

地方大会にこだわる理由

――なぜ、地方大会にこだわるのですか?

僕は2006年に初めてIWGP王者になりました。それ以降、シリーズの地方大会が行われるときは先に現地入りして、ラジオ、テレビ、雑誌、新聞などの取材を積極的に受けるようにしてきました。新日本、またプロレスを広く知ってもらうためです。そうした地道なプロモーションで“下地”ができた後に、新日本ではオカダ・カズチカというスターが生まれました。そこで一気に団体が上昇気流に乗れた、という体験をしているんです。

業界を変えるようなスター選手がいつ誕生するかはなかなか読めないものですが、実際にスターが出現したときに活躍できる土壌は作っておきたいし、実際作っておけるんですよ。

――地方強化は土壌作りであり、ご自身の体験によるものだったんですね。

今、地方で活動することが、5年後、10年後のためのプロモーションであるならば、今これだけ主力選手がいるわけなので、先にしっかりつながると思うんです。

僕はかつて、一人で日本全国を新日本のプロモーションで回っていましたが、新世代の海野翔太、辻陽太、上村優也、成田蓮や、ジュニアヘビー級の選手が、オフに10人ぐらい一気にプロモーションで稼働したら、プロレスラーの知名度も上がりますし、新日本プロレスから世の中に発信する情報も増えます。だからこの手法を用いれば、僕のときよりも、10倍のスピードでプロレスというジャンルが大きくなる。そんなイメージを持っています。

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