新日本プロレスの「闘う広告塔」棚橋新社長の胸中 猪木、坂口、藤波に続く「レスラー兼社長」が語ること
――棚橋さんはどのような経営者を目指しますか?
レスラー兼社長という立場を最大限に活用して、事務方と現場の間に入って統括していきたいです。あと誰よりも早く会社に出社してトイレ掃除ができる社長になりたいですね。
僕は今までのレスラー人生で、誰よりもプロモーションをして、練習をして、情報発信して、試合に全力投球するという自分の生き方を背中で見せてきました。社長になっても変わらずに、事務所に出られる日は必ず行って、練習も頑張って、巡業に出て、社員から「うちの社長、頑張ってるな」と遠隔で鼓舞できるような活躍をしていきたいです。
「新しく利益を生むようなものを考えないといけない」
――かつて、新日本の木谷オーナーが日経新聞電子版で「新日本プロレスは規模としては世界2位、アジア1位ですが、世界一の米国のプロレス興行会社WWEに比べたら25分の1です。(中略)米国と日本の規模を比較しても、新日本プロレスの売り上げは100億円まではいけると考えています」と語っていました。新日本の2023年6月期の売上高は約52億円、営業利益は2億3000万円です。今後、どのようなアプローチをして100億円という将来の売り上げ目標に到達していくお考えですか?(新日本プロレスは東証上場の『ゴング』を鳴らせるか | NIKKEIリスキリング)
地方大会の観客動員数と『NJPW WORLD』の加入者を増やしていくことだと考えています。今後、世界戦略を考える中では、やはり海外のファンを獲得していくことが必要です。それだけの売り上げ目標を達成するには(集客人数の多い)ドーム大会を増やすだけでは追いつかないので、新しく利益を生むようなものを考えないといけない気がします。
――2022年6月19日に東京ドームで開催され、武尊vs那須川天心のドリームマッチで話題を呼んだ格闘技イベント『THE MATCH 2022』が一夜で「チケット売り上げ20億円、ペイパービュー50万件25億円、スポンサー収入5億円」という国内では驚異的な数字をあげました。このようなビッグビジネスを仕掛けていきたいというお考えはありますか?
そうですね。色々な方からいいアイデアを集めて、最終的には僕からしっかりゴーサインを出していきたいですね。レスラーと社員、家族の生活を背負う責任が僕にはあるので、会社のためにできることがあれば全部やっていきますよ。猪木さんのような、ファンが喜ぶような仕掛けを考えつつ、経営面では坂口さんのように堅実性があって、藤波さんのような受け身も取れるという3人のレスラー兼社長の長所を織り交ぜて、自分のカラーもプラスしていくような経営者でありたいです。
――棚橋さんが目指す社長像が今の発言でおぼろげに見えてきたような気がします。
あとは色々な社長の集まりには新日本社長として参加して、意見交換やビジネスの話に広げていくことで、新しい扉をどんどん開けていきたいです。営業や法人担当の社員から「棚橋社長に同席していただけると助かります」と遠慮せずに使ってもらって、「世界一頼みやすい社長」を目指します(笑)。
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