認知症の親を追い詰める「記憶の確認クイズ」 大切なのはいち早く「答え」を明かすこと
認知症の方に対しては、不要なクイズを出すよりも、むしろ先に答えを教えてあげるような形でコミュニケーションを進めてください。
アドバイスの失敗と、そこから見えた光
78歳の高田さんは中等度の認知症で、「いつ」がわからなくなっています。
今日の予定も忘れてしまうので、近所に暮らす息子さんのお嫁さんが、毎朝電話でその日の予定を確認してくれていました。
しかし、やっぱり「記憶の確認クイズ」を出してしまいます。
「お義母さん、今日の予定わかる?」「ほら忘れてる。昨日も言ったでしょ?」
そして「今朝も義母に電話で予定を聞いたけど、まったく覚えていないのよ」と私に、なんの悪気もなく言ってくるのです。
私は、お嫁さんの頑張りを認めたうえで、「もし毎日お義母さんの家に立ち寄れるなら、明日の予定を書いて置き手紙をしませんか」と提案しました。
しかし、この提案は失敗でした。
せっかく置き手紙をしても、高田さんはその手紙をなくしてしまうといいます。
箱の中に入れたり、バッグやズボンのポケットに入れてわからなくなったり。
お嫁さんは、「もうこんなに苦労して書いても意味がない! 私だけ頑張っていて、バカみたい。家に行くのもいやになる」と言い出す雨模様。
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