消えた「タピオカ屋」でしっかり儲けた人の思考 ブームに乗じた「コトづくり」で短期収益化

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2回目は2008年です。台湾の飲食チェーン店が日本に増えて、タピオカミルクティが流行しました。このときにはタピオカは白から黒になり、スプーンで食べるものからストローで飲むものに変化しています。直近のブームの原型は、このときにできたものです。なお、今回のブームも塩キャラメルや生カステラといった競合スイーツが次々と登場したことによって、人気は沈静化していきました。

そして、2018年が3回目です。きっかけは、LCC(格安航空会社)の就航によって海外へのアクセスが安価になり、近場である台湾旅行の人気に火が付いたことで、本場のタピオカミルクティの人気が再燃したのです。今回はタピオカ以外のエスニック料理に対する注目も高まっており、パクチーが流行することにもつながっています。

これまでのタピオカブームとの違いは「映え」

直近のブームが前回までと異なっているのは、インスタグラムが重要なキーワードとなったことです。新語・流行語大賞を見ると「タピる」がランクインした前々年の2017年に「インスタ映え」が年間対象に選ばれています。

若いSNSユーザーたちはインスタ映えするネタを探していました。そうした背景の中でタピオカミルクティは「映えフード」としてマッチしたのです。それまではデザートや飲み物として買われていたタピオカミルクティが、写真に撮って投稿する若者のアイテムとして買われるようになっていきました。

飲料としてではなく撮影の小物としてタピオカミルクティが流行った現象は「コト消費」の表れといえます。コト消費は、体験の価値を重視して商品を購入する消費行動のことで、一般的な物品を購入する「モノ消費」とは対比の関係にあります。

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