消えた「タピオカ屋」でしっかり儲けた人の思考 ブームに乗じた「コトづくり」で短期収益化

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従来の消費はモノの機能を重視していましたが、多機能で高機能なモノがひと通り世の中に行き渡った結果、モノを通じた形ある価値よりも、モノを持ったり使ったりすることを通じた形のない価値(コト)が重視されるようになりました。これは事業を考えるうえで押さえておきたい社会変化の1つです。

社会変化という点で見ると、ブームは短期的な社会変化といえます。ブームよりも息が長いのがトレンドで、さらに長くなると変化が常識として定着します。環境問題はブームからトレンドになり、常識になった一例といえるでしょう。今でこそ世界全体が環境に配慮することを常識としていますが、過去にはロハス、エコ、エシカルといった短いブームを繰り返し、SDGs時代になってようやく広く浸透したわけです。

何がブームになるかはわかりません。ブームがどれくらい大きくなり、どれくらい続くかもわかりません。お笑い芸人でも同じことが考えられます。一発ギャグなどでブレイクした場合でも、一年も経たないうちにテレビで見なくなってしまう芸人がいれば、自身のレギュラー番組を持つなどして売れ続ける芸人もいます。後者の芸人の場合は、ブームからトレンドに移行した例であるといえます。

「プロダクトライフサイクル」がわかれば引き際も見えてくる

こうしたブームやトレンドを事業機会とする場合は、どんな商品にも寿命(プロダクトライフサイクル)があることを踏まえておくことが大切です。プロダクトライフサイクルとは、製品の売上と利益の成長パターンを、導入期・成長期・成熟期・衰退期の4つに分類し、それぞれの段階において取るべき戦略の示唆を与えてくれるものです。もちろん未来のことは誰にもわかりませんが、このサイクルを意識して複数のシナリオを想定しておくことは有効です。

また、新製品やサービスに対して消費者側の態度をもとにして考えるイノベーター理論についても知っておいた方がよいでしょう。イノベーター理論では、イノベーションに対する消費者の態度を革新的採用者・初期採用者・前期多数派・後期多数派・採用遅滞者の5つに分類し、それぞれの傾向と割合を示しています。商品やサービスがどの程度人々に浸透しているのかを把握し、各段階の消費者に対して適切なアプローチを行うことも意識するべきです。

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