グッドイヤーと訣別、住友ゴム「単身」の打算 15年以上続いた日米タイヤ連合が消滅した
解消によって、生産・販売の合弁では、住友ゴムが北米の会社を、グッドイヤーが欧州の会社を、それぞれ完全子会社化。提携解消の対価として住友ゴムは、グッドイヤーから325億円のキャッシュを受け取る。1%前後の株の持ち合いもやめる方向だ。
グッドイヤーというパートナーを失った住友ゴム。だが提携中も経営資源を新興国向けに積極投入してきた。中国やタイ、ブラジルで工場を新設したほか、南アフリカの生産拠点も買収。この7月には欧州や中東、北アフリカへの供給拠点となる、トルコ工場を新たに稼働させる。
欧米でも提携中、住友ゴムは自社工場を持てなかったが、これで米バッファロー工場を取得。よりスポーティな「ファルケン」ブランドの現地生産が可能になる。ロシアなど欧米以外でのダンロップ商標権ももぎ取った。
新興国市場をどう攻める
「成長するアジアをきっちり取れたし、ダメだと思っていた北米でもチャネルと工場を得た」。SMBC日興証券の松本邦裕シニアアナリストは解消をそう評価する。
ただし住友ゴムの世界シェアは4%弱と大きくはない。3月には中国化工集団が伊ピレリを約1兆円で買収すると発表。独禁法に制約されない新興メーカーを軸にした再編は今後も進む。規模で劣る住友ゴムが、欧米も新興国も「単独」でどう攻め切るか、難しい舵取りが求められる。
(撮影:今井康一)
(「週刊東洋経済」2015年6月20日号<15日発売>「核心リポート02」を転載)
住友ゴム工業の株価・業績、ブリヂストンの株価・業績 は「四季報オンライン」で
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら