ブリヂストン、ベトナムに向ける熱い眼差し 増強でタイ、日本に次ぐ最大級の生産拠点へ
――新工場建設地にベトナム、ハイフォン市を選んだ理由は。
武田COO ベトナム工場が立地する場所はハイフォン港に近く、数年後には港の拡張で、5万トン、10万トン規模の超大型コンテナ船で荷物を運び出せるようになり、コストが大きく下がる。物流コストは毎日のことなので、メリットは非常に大きい。(工場が属する)ディンブー工業団地がベトナム政府から50年の土地のリースを受けていること、来年には首都ハノイからの高速道路が開通することなど、政府からのサポートが大きいのも理由の1つだ。
――津谷正明CEO(最高経営責任者)が「世界に誇れる工場を目指す」と述べているが、具体的にどのような特色があるのか。
國武社長 特に革新製法と呼ばれる類ではなく、従来型の設備だ。この工場は初期投資を抑えて、生産の立ち上げのカーブをいかに早くするかをターゲットに置いている。各設備の機能を単一化(シンプル)にして、その分、技能員の習熟度を上げている。他の工場より従業員の数は多いが、安価な労務費によってコスト競争力を維持できている。
急ピッチで増産を進行
ベトナム工場で生産するタイヤのサイズに合わせて作った専用の成型機の導入など、個々のプロセスの効率化にも努めたことも特色だ。従来生産していた乗用車用タイヤの2倍のスピードで毎月増産していく目標を今のところは達成している。
――ベトナム国内へのタイヤ供給は考えているのか。
武田COO もともと、生産ラインをシンプルにして大量生産し、コストの安い汎用価格帯のタイヤに対応する輸出拠点として工場をスタートした。だが、いったん工場を作ると、「いつからベトナム向けに供給するのか」と国内の(業者からの)期待も大きい。二輪車から四輪車にというモータリゼーションの目安として、1人あたりGDP(国内総生産)3000ドルが1つのハードル。5000ドルを超えると一気に自動車社会になるというのが、ほかの国の例からも分かる。
人口から見てもベトナムがその局面に入ると、ものすごい勢いで市場が成長していくとみている。せっかくこれだけ本格的な工場を作ったので、将来的に十分活用していけるだろうと考えている。
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