ブリヂストン、ベトナムに向ける熱い眼差し 増強でタイ、日本に次ぐ最大級の生産拠点へ

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――だが、経済成長に伴ってベトナム工場でも1人あたり賃金や生産コストが上がり、当初見込んでいたグローバル供給の輸出拠点としての役割を失うおそれはないのか。

武田COOそれに合わせて徐々に自動化を進める設計になっている。常に競争力が最先端でいられるよう、(自動化を意識した)設備仕様、レイアウトにしている。

――生産能力の増強が完了する17年時点でイメージしている地域別の輸出比率は?

武田COO 全世界では年率3%でタイヤの需要が増えていくとみている。人口が減少する日本はおそらくある一定の比率で止まる。米国、欧州、アジアの需要は伸びていくので、その時々の成長スピードによって出荷比率は変わってくるだろう。ベトナムは国内からの要望もあるので、供給計画を前倒しで考えていくことになる。

さらなる追加投資の可能性は?

ベトナム工場のさらなる投資の可能性も示唆した武田COO

――今後、新興国への汎用品タイヤ供給に向け、工場新設や増強を考えている国はあるのか。

武田COO インドや中国など、まだどれぐらい大きくなるかわからない市場もある。世界でナンバーワンの地位にいるので、シェアをキープしていくためには、そういう大市場をきっちり押さえることがしばらく必要だ。ベトナムもまだ土地が余っている。どこか別の国に新設するのであれば、ノウハウもあり、必要な部分だけ追加投資すればよいベトナムを増強するのも手だ。

――ブリヂストンとしての中国・アジア・大洋州セグメント地域の展望と、台頭する新興国タイヤメーカーへの対応策は。

武田COO われわれの2013年の地域別売り上げ構成比をみると、中国・アジア・大洋州は、既に欧州(12%)より大きく、日本(19%)に並んでいる。需要の伸びからすると、将来、日本を抜く地域だといえる。しかも、この地域内でのシェアはほとんどナンバーワン。

ただ、いろんな低価格品のブランドが下から出てくる中、ブリヂストンブランドだけで正面切って戦うのは難しい。アジアの中で最初に進出したタイでは、上の価格帯ではブリヂストンのイメージをキープして、「ファイアストン」ブランドのタイヤで廉価品を販売する、2ブランド戦略を始めている。

常盤 有未 東洋経済 記者

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ときわ ゆうみ / Yuumi Tokiwa

これまでに自動車タイヤ・部品、トラック、輸入車、楽器、スポーツ・アウトドア、コンビニ、外食、通販、美容家電業界を担当。

現在は『週刊東洋経済』編集部で特集の企画・編集を担当するとともに教育業界などを取材。週刊東洋経済臨時増刊『本当に強い大学』編集長。趣味はサッカー、ラーメン研究。休日はダンスフィットネス、フットサルにいそしむ。

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