「安全になると不安が増す」パラドックスの理由 災害、事件、事故による死者数は減少トレンド

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ここまでの考察を知り合いの外国人に伝えました。すると、「日本人がうらやましい!」と「日本人はかわいそう」という真逆の反応がありました。

「昨年、自宅のすぐ近くで発砲事件があって、息子が危うく巻き込まれそうになった。さすがに、アメリカの銃社会がつくづく嫌になったよ。その点、日本の安全な社会ってすごいね。正直うらやましい。日本は生活コストも格安なようだし、リタイアしたら移住しようかな」(アメリカ人)

「命の危険がなく、健康に暮らせて、おまけに寿司もおいしいし、女性もキレイ。それで『何だか不安で、幸せだと思わない』って、日本人の思考回路はいったいどうなっているんだ? まったくかわいそうな人たちだ。歌って踊って、もっと人生を楽しもう!」(ブラジル人)

気持ちを変えるために

日本の状況を変えるには、どうすればいいのでしょうか。安心という人の気持ちを変えるのは容易ではありませんが、先ほどの2つの原因が当たっているとすれば、以下の取り組みが必要です。

①政府・マスメディアは、自然災害・交通事故・殺人事件などの過剰な情報提供を控える。重要性・緊急性などでランク付けし、メリハリを付けて情報発信する。

②政府・マスメディアは、戦後から今日に至る政策や諸外国と比べた日本の安全・健康などの現状を国民に知らせる。

恵まれた生活環境で暮らしながら、不安にさいなまれている日本人。政府も国民もこの問題を直視し、幸福を感じられるようになることを期待しましょう。

日沖 健 経営コンサルタント

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ひおき たけし / Takeshi Hioki

日沖コンサルティング事務所代表。1965年、愛知県生まれ。慶應義塾大学商学部卒業。日本石油(現・ENEOS)で社長室、財務部、シンガポール現地法人、IR室などに勤務し、2002年より現職。著書に『変革するマネジメント』(千倉書房)、『歴史でわかる!リーダーの器』(産業能率大学出版部)など多数。

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