早急に海底活断層評価を、地震学の専門家が警鐘 能登半島地震で、政府の対策の遅れが露呈

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――地震対策と津波対策がちぐはぐになっていたということでしょうか。

国交省は自治体の津波対策に役立ててほしいということで調査報告書を策定し、これを踏まえて日本海側の各県が対策に乗り出しました。

石川県では地域防災計画の津波災害対策編が改定され、F43およびF42断層の活動による地震の規模や長さ、幅、平均すべり量、津波の高さなどが想定されました。

遠田晋次/東北大学災害科学国際研究所教授。電力中央研究所研究員、東京大学地震研究所助手、産業技術総合研究所活断層研究センター研究員、京都大学防災研究所准教授を経て、2012年より現職。政府の地震調査研究推進本部「内陸で発生する地震の調査観測に関する検討ワーキンググループ」構成員も務める。著書に『連鎖する大地震』『活断層地震はどこまで予測できるか』。

他方、同防災対策の地震災害対策編では同断層は考慮されず、四半世紀前の評価に基づく地震被害想定のままになっていました。

その結果として「能登半島の北方沖の地震」については「ごく局地的な災害で、災害度は低い」という評価にとどまっていました。

政府の地震本部の「確率論的地震動予測地図」でも、能登半島北部は「今後30年に震度6強の揺れに見舞われる確率」が相対的に低い地域に区分されていました。

今回の断層が評価対象に入っていなかったためです。

今あるデータを用いて沿岸部の活断層の評価を

――産総研などによる沿岸部の活断層に関するこれまでの知見を基に、陸地での地震の規模を想定することは難しいのでしょうか。

活断層の長さや傾斜などのデータがある程度わかれば、それを基に「強震動レシピ」と呼ばれる計算式を使って地震動の大きさを試算することはできます。今回、「こういう断層が能登半島沖にあって、これが動くとこういう震度分布になる」という予測を示せていなかったことは残念です。

海岸近くの海底活断層については、沿岸漁業との兼ね合いや水深状況から海底音波探査がやりにくいといった技術的な問題はありますが、今すでにあるデータを用いて地震動予測地図のようなものを作ることはできる。とにかく急いで評価すべきと思っています。

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