組織からの逃げ場ない40代ガンダム世代 『「ワンピース世代」の反乱、「ガンダム世代」の憂鬱』著者が語る
--その登場人物に管理職が重なるわけですか。
自分の信念に従って、と言ったが、地球連邦軍もかなり「腐り切った組織」。その組織の事情に左右されながら、所属する論理に従って戦う。その結果、何が正義で何が悪かに関して、登場人物の間で葛藤がある。組織の論理を致し方のないものとのみ込んで、個人としてはつらい決断をしていくところに、今の実生活と重なる部分がある。
--ガンダム世代とワンピース世代は水と油ですか。
ワンピース世代はコミュニケーションがなってない、とよく勘違いされる。実際にはコミュニケーション能力は恐ろしく高い。ただ、高いものの、その向く先が自分の仲間だけであって、上司であるガンダム世代に対して、まじめにコミュニケーションを取ろうとしない。
--ソーシャルなツールにも強い。
SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)やスマートフォンを使って、言葉を介さずにメールを使って、互いの状況を発信し合っている人たちだ。一方のガンダム世代は、言葉でないと話した気がしない。ただし、ワンピース世代は、そのコミュニケーションスタイルに少しでも入ることができるようになると、理解しやすい世代に変わる。つねに自分たちの情報を発信している世代だからだ。今悲しいのかうれしいのか、またどこにいるのか行きたいのか。状況を日常的に発信しながら動くので、こんなに理解しやすい世代はない。
--同時に、タテ社会に属そうともしないようです。
ガンダム世代は組織の中に入って、しかも、終生その組織の中にいる人間が比較的多い。逆にいうと、逃げ場がない世代だ。だからこそ、タテ社会の中での命令や要請に基本的に従う。苦しかったり、嫌だったりしても、その組織の中にいて何とか解決していこうとする。