組織からの逃げ場ない40代ガンダム世代 『「ワンピース世代」の反乱、「ガンダム世代」の憂鬱』著者が語る
時々のはやりのマンガやアニメが世代共通の特徴を生み出しているという。今20代の「ワンピース世代」は自由と仲間に価値を置き、40代「ガンダム世代」は理不尽な組織にとらわれている--。二つの世代の対立と解決策を説く。
--はやったマンガやアニメで、世代が語れるのですか。
大胆すぎるかなと思ったが、意外と当たっている。あるマンガやアニメが多くの人から共感を得た時代に人格形成すると、その影響を少なからず受け、世代共通の特徴が形成されるのではないかと、仮説設定した。
アニメやマンガは過小評価されがちだが、これほど影響力のあるメディアはなかなかない。特に人格が形成途上のティーンエージャーに影響を与える。中でも、その世代のとんがった部分に対して強い影響を及ぼしている。飢えもバブルも知らない、今の20代の若者にとって、それがたまたま『ONE PIECE』(以下、ワンピース)になった。
--ワンピースは「お化け作品」です。
1997年から『少年ジャンプ』に連載が始まり、今年14年目に入っている。人気は衰えず、これまで発行された単行本が2億3000万部。『少年ジャンプ』はひところの力はないといわれるが、それでも毎週300万部出ている。
--なぜワンピースが?
最近の若い社会人は、われわれ40~50代の世代と行動や価値観がずいぶん違う。その実情を体系立ててまとめる機会を得てわかった。ワンピースというマンガは、海賊王になろうと自分で決めて海に出た主人公ルフィが、一人ひとり仲間を増やしていって、今は8人の仲間たちと新世界に向けて自分たちの海賊船で航海を続けていくストーリー。リサーチをしていくうちに、そのワンピースのストーリーに近い行動を取っている若者たちが多いのに気づいた。