F弁護士は予備試験についても、「現在のままでは、おカネがない人が法曹になりにくい制度であることは間違いないので、予備試験組の合格枠拡大には賛成」だという。
A弁護士は「予備試験をメインとし、ロースクール経由はおカネに余裕がある学生が、大学院進学の一つの選択肢として2~3年そこへ行けば司法試験の受験資格が得られるという、例外的ルートとすべき」という意見だ。
C弁護士は、「法科大学院がおカネと時間をかけるだけの価値がある教育を提供できていれば、必然的に志願者はそちらへ流れるはず。それが出来ていないから予備試験が人気を博しているのではないか」と見る。
公認会計士試験の「二の舞」は避けられるか
現在、法曹養成制度がどうあるべきかの議論が内閣府の『法曹養成制度改革顧問会議』で継続している。5月21日の会議では、当面の合格者数を「1500人以上」とすることが決まった。
報道では1500人に絞ったというトーンが主流だが、事務局を務める内閣官房法曹養成制度側改革推進室は、増員派の久保利弁護士の解釈の通り「最低でも1500人は合格させるという趣旨」であると認めている。
今年度の法科大学院の入学者数は2201人。1500人が合格出来るとすれば、当初の制度設計と同じ7割が合格できる計算だが、就職難のイメージが定着している中で果たして志願者数の回復は望めるのだろうか。
今から5年前、待機合格者問題で揺れた公認会計士。機動的に合格者数を絞り込み、待機合格者問題はほどなくして解決したが、受からない試験に逆戻りしたためか、現在も受験者数はコンスタントに毎年3000人ずつ減り続けている。
その一方で、一昨年あたりから海外子会社の対応などで企業のコンサル需要が急増し、監査法人は人手不足に陥り、2014年の合格者の就職戦線は空前の売り手市場となった。
一昨年、昨年あたりの合格者は、待機合格者問題のピーク時に勉強を始めた人たちだ。リスクをとったことが報われたわけだが、それでも公認会計士試験の受験者数は今年も3000人規模で減った。
このことは、合格者数を絞り込み、就職先が確保されても志願者数は回復しないということを証明している。ますます少子化が進む中、法曹志願者数の回復にはよほどの仕掛けが必要であることは間違いない。
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