ジョーンズ・ラング・ラサールのデータによれば、2023年に上海市で締結されたAクラス賃貸オフィスの賃貸契約では、既存契約の更新の比率が新規契約および借り増し契約の合計を上回った。このことは、企業が(事業の先行きを楽観できず)オフィス拡張に慎重であることを示唆している。
それだけではない。コロナ禍の期間に建設工事が一時延期されていた大型のオフィスビルが、2023年に集中的に市場に供給されたことも、空室率の上昇に拍車をかけた。クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドのデータによれば、2023年に新規供給された上海市のAクラス賃貸オフィスの総面積は155万平方メートルと、過去10年間の平均値である103万平方メートルの1.5倍に上った。
賃料「3割引」が当たり前に
賃貸オフィスの需要低迷と供給増加は、空室率の上昇と同時に賃料の下落を招いている。不動産サービス大手のコリアーズ・インターナショナルのデータによれば、上海市のAクラス賃貸オフィスの賃料は2016年をピークに下がり続けており、2023年末時点の平均値は1平方メートル当たり日額7.17元(約150円)と過去10年間の最低記録を更新した。
市況の厳しい冷え込みを受け、賃貸オフィスのオーナーはテナントの引き留めに必死になっている。
契約更新の際には、多くのオーナーが賃料引き下げや一定期間のフリーレントなどの優遇条件を自ら提示。不動産サービス大手のサヴィルズによれば、契約更新後の新賃料は旧契約の3割引が今や当たり前になっているという。
(財新記者:牛牧江曲)
※原文の配信は1月24日
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