かつては右肩上がりで増加していた中国の個人向け住宅ローンの残高が、2023年に減少に転じたことがわかった。背景にはローンの借り手による繰り上げ返済の増加があるとみられている。
中国人民銀行(中央銀行)が1月26日に発表したデータによれば、2023年末時点の残高は38兆1700億元(約794兆円)と前年末に比べて1.6%減少した。
人民銀行の統計を遡ると、個人向け住宅ローンの残高は2004年から2021年末までのすべての四半期で、前年同期比2桁台の高い伸び率を維持していた。
広東省の減少幅は2%超え
しかし2022年に入ると、不動産市況の悪化を受けて住宅ローン残高の伸び率はみるみる低下した。2022年1~3月期の伸び率は前年同期比8.9%と1桁台に落ち込み、同年10〜12月期には同1.2%まで急減速、翌2023年の4~6月期にはついに0.7%のマイナスに転じていた。
中国国内でも住宅ローン残高の減少が顕著なのが、南部の広東省だ。経済発展の水準が高い同省は、中国全土の個人向け住宅ローン残高の14%弱を占めている。
人民銀行広東省分行(支店に相当)の調査統計部門の責任者を務める汪義栄氏は1月25日の記者会見で、広東省の2023年末時点の個人向け住宅ローン残高が5兆3000億元(約110兆円)となり、前年末より2.5%減少したことを明らかにした。
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